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管理機は主に畑を中心に耕運(中耕)、掘取り、除草、畝立てなどの管理作業をする機械である。また、これに対して耕運機は水田や畑を耕運するのみの機械である。管理作業とは、畑などの土壌に適正な水分と酸素、そして地温を保たせ、作物がより育ち易い環境を作ることである。

管理機は、一般に単発の4サイクル・ガソリン・エンジンを動力として下記のような作業種類がある。
ロータリ作業…固定式、開閉式など
耕運、中耕、除草、畝立て、培土、マルチ、土寄せ、溝掘り、溝上げ、掘取り、覆土など
車軸作業
耕運、深耕、除草、整地、代掻き、砕土、鎮圧、畝立て、畝崩しなど
牽引作業
犂耕、除草、培土、播種、鎮圧、施肥、マルチ、掘取りなど
PTO作業
畦塗り、草刈り、掘取り、施肥など
   始動について   保管について



管理機の各名称、構造

下図は現在最も多く使われている初心者向けのロータリ固定式である。

管理機左側 管理機右側





始動について

管理機のエンジンのクランク・ケースに入っているエンジン・オイル(#30)は0.6~0.7ℓと少ないため、始動前には必ず点検する。
注油口キャップにゲージが付いているので、Fの所まで油面があることを確認する。この時、管理機前側をジャッキ・アップするなどしてエンジンが水平な状態であること。
また、エンジン・オイルのドレン・ボルトは2箇所(前側横側、または前側と後側など)ある。
オイル交換する場合は抜き易いほうを外すが、ジャッキ・アップしない状態ではエンジンは前屈みになっているので前面を外す。



始動手順…4サイクル・ガソリン・エンジンの始動、故障診断とその対処
   
  1. 燃料キャップを外し燃料(ガソリン)を入れる。
  2. 燃料コックを開く。レバーを縦にする。
  3. 変速レバーがニュートラル位置になっているか確認する。
  4. チョークレバーを「閉」にする。
  5. 手元のアクセル(スロットル)・レバーを中間にする。
  6. リコイル・スタータの紐を引く。セル式の場合はキー・シリンダを回し、セル・モータをエンジン爆発音がするまで回す。
  7. エンジン爆発音がして始動し始めたら、チョークレバーをゆっくり「開」にする。
  8. 2,3分低速で暖気運転する。
   …全体写真

注意    
  • エンジンが暖まってる場合には、チョークレバーは「開」のままで始動する。この状態でエンジンが始動しない場合は再度、4から始める。  
  • 燃料がキャブレータまで来ていて、エンジンが始動できないまま何回もリコイル・スタータの紐を引き始動しようとすると、燃料をくい過ぎて更に始動困難になる。その場合はスパークプラグを外し、エアで軽く吹くなど乾かしてから再度取り付けて行う。セル式も同様である。
  • セル式でエンジンが上手く始動しない場合、セル・モータを一度に20秒以上回さないようにする。

  • 保管について

    管理機は長期使用しない場合、再使用時にエンジンが始動出来ないなどトラブルが起き易くなるので、正しい保管方法で保管する。

    長期保管の仕方、注意事項
    • ロータリの耕運軸に巻き付いたワラや草を取り、付着した泥を水洗いで落す。
    • ワイヤ類に油を注しておく。
    • 車輪の下に板等を敷いておく。
    • 燃料タンク、燃料コックキャブレータ内のガソリンを全て抜いておく。燃料タンク内のガソリンは給油ポンプを使って抜き、燃料コックのストレーナ・カップを外して残った分を抜く。その後、右図のようにキャブレータのフロート・チャンバ・ケース下部に設けてある燃料抜きドレンを緩めて、キャブレータ内に残ったガソリンを完全に抜きとる。燃料抜きドレンは、ネジ式やレバー式などがある。燃料を抜くために外したり緩めた個所は元の状態にしておく。ストレーナ・カップは、アミ(フィルタ)が中心にいることを確認しパッキンと共に落さないようにして取り付ける。
    • セル式はバッテリのマイナス端子(アース)を外しておく。
    • 車輪に木材などで歯止めをしておく。

    過去の記載→第3回:ガソリン・エンジンの燃料の抜き方

    燃料抜き



    ディファレンシャル・ギヤ(差動装置)

    一般に管理機のタイヤの回転動力は、右図のようなディファレンシャル・ギヤ(通称デフ)を介して伝達される。これは、円滑に旋回するための装置であり、以下の理由や特徴がある。
    旋回時、左右のタイヤが滑りを起こさず円滑に回転するためには、外側のタイヤは内側のタイヤよりも速く、また多く回転しなければいけない。そして、凸凹の圃面を走行する場合でも左右のタイヤの回転数が常に変化しなければいけない。
    平坦路を直進する場合は、左右のタイヤの回転抵抗が等しいので、右図のように左右にサイド・ギヤは同じ回転数でピニオンの公転に従って動き、全体が一つのブロックとなり回転する。
    旋回時は、左右のタイヤにかかる抵抗に差が生まれるため、ディファレンシャル・ピニオンは公転しながらサイド・ギヤの回転差を補正するように自転する。この作用で左右のサイド・ギヤに回転差が与えられ円滑に旋回できる。

    耕運機は、管理機と違いディファレンシャル・ギヤを設けてなく、旋回時に手元で旋回側(内側)のサイド・クラッチを切ることによって円滑に旋回できるようになっている。


    デフ・ロック・レバー

    ディファレンシャル・ギヤの欠点として、大きな溝やぬかるみに片側のタイヤが落ち込んだ場合、圃面に接地してるタイヤは圃面の抵抗を受けるが、落ち込んだタイヤは殆ど圃面の抵抗を受けないため、圃面に接地してるタイヤには動力が伝達されず、ぬかるみに落ち込んだタイヤがいたずらに空転して走行できなくなる。
    このような場合に、デフ・ロック・レバーを引きデフ・ロックをかけることにより、左右のタイヤを強制的に連結させる。左右のタイヤは強制的に回転するので、大きな溝やぬかるみにはまっても脱出する事が出来る。デフ・ロックをかけたままでは旋回できないので、旋回時はデフ・ロックを解除する。

    一般にデフ・ロックは、デフ・ロック・レバーからワイヤを介してミッション・ケース側面のデフ・ロック・アームに繋がっている。レバーを引くと、デフ・ロック・アームと連結されたドグ・クラッチ状のものが、噛み合うことで連結される構造になっている。



    デフ



    クラッチ


    一般に管理機に使われるクラッチはデットマン・クラッチ方式である。
    この方式は、Vベルトがエンジン・PTO・プーリとミッション・PIC・プーリ間に弛んだ状態で掛けられ、エンジン運転中ハンドルに取り付けてあるクラッチ・レバーを握ると、右図のようにワイヤを介してテンション・プーリが持ち上がるのでVベルトが張り動力がエンジンからミッションに伝達される。(クラッチが繋がる)また、クラッチ・レバーを離すとテンション・プーリが下がるので、Vベルトが弛み動力の伝達が止まる。(クラッチが切れる)

    クラッチが切れた状態では、右図のようにエンジン・ベアリング・ケースなどに取り付けられたベルト押さえによって、Vベルトに適切な弛みを保たせ、プーリとの摩擦を避けている。




    クラッチについて

    変速レバーが1速に入った状態で、クラッチ・レバーを握っていないのに前進する場合は、ベルト・カバーを外し、ベルト押さえを調整する。エンジンを最高回転にしてもVベルトがつられて回らないようにする。また、ベルト押さえの調整は必ずエンジンを止めて行う。
    他、クラッチ・ワイヤとテンション・アーム軸が楽に動くか確認する。

    管理機クラッチ



    ロータリ


    管理器のロータリは、一つのミッション・ケース内にタイヤ車軸と耕運軸を設けたものと、ミッション・ケースからPTO軸を設け、後部に取り付けたロータリの動力を得るものがある。現在、管理器では前者のタイプが小型で手軽に扱え、また耕運と畝立て作業が可能なため多く使用されている。

    ロータリは固定式と開閉式があり、ともにセンタ・ドライブ方式で一般に内盛りに耕運爪が取り付けてあるものが多い。これは、土を外に飛ばないようにして、なるべく作物際を耕運できるようにするためである。
    耕運軸の回転方向は、正転と逆転があり用途によって使い分ける。
    ◎正転作業…通常作業、溝上げ作業(開閉式ロータリ、後進作業ができるタイプ)など
    タイヤの回転と同じ回転方向
    ◎逆転作業…硬い圃面の通常作業、溝上げ作業(開閉式ロータリ)など
    タイヤの回転と反対回転方向


    主な用途表(ロータリ作業)

    ※前部エンジン、後部ロータリ、後部ハンドル、前進作業の場合(上記、管理器の例図のタイプ)


    ロータリ固定式…正転
    爪の種類、向き 通常耕運 培土器使用の溝切り、畝立て作業 溝上げ(溝掘り)作業
    正逆爪内盛り(出荷状態) ×
    なた爪内盛り ×
    なた爪外盛り ×
    なた爪平面盛り ×
    ロータリ固定式…逆転
    爪の種類、向き 通常耕運 培土器使用の溝切り、畝立て作業 溝上げ(溝掘り)作業
    正逆爪内盛り(出荷状態) ◎(硬い圃面) ×
    なた爪逆向き(左右入替)、内盛り ○(移植床作り) × ×
    なた爪逆向き(左右入替)、外盛り × ×
    ロータリ開閉式(中耕ロータリ)…閉、正転
    爪の種類、向き 通常耕運 培土器使用の溝切り、畝立て作業 溝上げ(溝掘り)作業
    なた爪内盛り ×
    なた爪外盛り ×
    なた爪平面盛り ×
    ロータリ開閉式(中耕ロータリ)…閉、逆転
    爪の種類、向き 通常耕運 培土器使用の溝切り、畝立て作業 溝上げ(溝掘り)作業
    なた爪逆向き(左右入替)、内盛り ○(移植床作り) ×
    なた爪逆向き(左右入替)、外盛り × ×
    ロータリ開閉式(中耕ロータリ)…開、正転
    爪の種類、向き 通常耕運 培土器使用の溝切り、畝立て作業 溝上げ(溝掘り)作業
    なた爪内盛り ×
    なた爪外盛り △(後進作業が出来る機種)
    なた爪平面盛り ×
    揚土爪(外盛り) × × ◎(後進作業が出来る機種)
    ロータリ開閉式(中耕ロータリ)…開、逆転
    爪の種類、向き 通常作業 培土器使用の溝切り、畝立て作業 溝上げ(溝掘り)作業
    なた爪逆向き(左右入替)、外盛り
    揚土爪(外盛り) × ×

    中耕作業
    中耕とは、農作物の生育中にその周囲の表土を浅く耕すことで、土壌の通気性などをよくし、作物の生育を促進させる効果がある。



    耕運爪

    通常作業では、一般に正転と逆転が可能な正逆爪(右図)、または反転性が高いなた爪(右図)が使われる。
    他、溝上げや土寄せなどに使う揚土爪があり、これはなた爪に似た形状で、なた爪より長く、より幅を広くして、多くの土を持ち上げることが出来るようになっている。

    管理器の耕運爪の取り外しは、一般に左右それぞれ爪軸ごと取り外せるようになっていて、爪軸は左右ともピン1本で留めてあるので容易に外すことができる。

    偏心爪について

    偏心爪は、センタ・ドライブ・ケース真下の残耕処理を行うために取り付けられている。偏心爪は、正逆爪用やなた爪用などがあり形が異なる。

    他、各メーカー各機種によっては、ダッシング防止を目的として、正転耕運時にセンタ・ドライブ・ケースの左右偏心爪を逆転させる構造になっているものもある。

    抵抗棒、尾輪について

    抵抗棒は、管理器のダッシング防止の役割がある。
    タイヤの回転より、耕運軸の回転のほうが速いため、硬い圃面ではどうしても耕運軸の力で機体が前進しようとするため、抵抗棒により圃面に抵抗をかけ不意に前進しないようにしてる。
    尾輪は、管理機の耕深調節の役割がある。
    尾輪を上げると深くなり、下げると浅くなる。


    正逆爪なた爪
    爪の取付種類

    内盛り(例…右図)
    爪がセンタ・ドライブ・ケースを中心に、偏心爪を除き全て内向きに取り付いている。
    外盛り
    爪がセンタ・ドライブ・ケースを中心に全て外向きに取り付いている。
    平面盛り
    爪が内と外と交互に取り付いている。センタ・ドライブ・ケースを中心に左右対象になっている。
    逆向き内盛り
    爪軸が左右入れ替わり、センタ・ドライブ・ケースを中心に、偏心爪を除き全て内向きに取り付いている。
    逆向き外盛り
    爪軸が左右入れ替わり、センタ・ドライブ・ケースを中心に、全て外向きに取り付いている。



    内盛りの配列
    培土器

    培土器の取付は、一般に培土器への抵抗を減らすため爪軸を外向きに取り付ける。また、作物に土が飛ぶ場合は一番外側の爪を内側に取り付ける。

    培土器の取付について
    • 右図のように爪を最大径位置で接地させた状態で、培土器は10~20㎜程上げて固定する。
    • 尾輪を接地させて固定する。
    • スキ先をやや上げる。
    • 開閉式ロータリは、右図のようにロータリ・カバーを最下位置で閉めた状態で使用する。
    • スキ先は下げると深くなり、上げると浅くなる。

    畝の形状
    培土器
    かまぼこ状の畝ができる。
    溝浚器
    台形の畝ができる。培土器に比べ土を押え付けるので締まった畝ができる。

    培土器の取付
    溝上げ、揚土、土寄せ

    溝上げ、揚土、土寄せ作業は、一般に開閉式ロータリでロータリ・カバーを上げて使い、タイヤは内側位置に移動させる。溝上げや揚土作業は、管理器は前進作業(ロータリ後側)で行うものと、ハンドルを半回転させ後進作業(ロータリ前側)で行うものがある。
    前進作業では、揚土爪を逆向き、外盛りに取り付けて逆転で土を前面、外側に飛ばす。
    後進作業では、揚土爪を外盛りに取り付けて正転で前面、外側に飛ばす。また、逆向き、外盛りに取り付けて逆転で土を後面、外側に飛ばす。
    一般に逆転は正転より耕運軸の回転が速いので、逆転を使うとより土を飛ばす事ができる。
    他、センタ・ドライブ・ケース下部は土が移動しないので、右図のように排土板(残耕処理)を取り付ける。

    後進作業ができる管理器は、予め細いゴム・ラグ・タイヤが内側位置に取り付けられていて、畝間での揚土、土寄せ作業や除草などに向いている。その反面、機体のバランスが悪いので、操作には気を付ける必要がある。


    同じ溝を数回に分けて深く掘る方法
    1. ロータリ・カバーを少し低めにして、土を遠くに飛ばし、溝に土が戻らないようにする。
    2. 1.よりやや浅く、ロータリ・カバーを少し上げる。
    3. 2.と同じくらいの深さで、ロータリ・カバーを土が溝に落ちないくらいの高さに上げる。
    4. 排土板は深さ調節も兼ねているので、排土板の車輪は排土板最下部より10~20㎜程下げた位置にする。


    溝上げ作業



    タイヤ


    下図のタイヤは一般的な管理機に使われてるものである。
    管理機のタイヤには、バイアス・タイヤが多く使われる。
    ◎サイズ表示の例
    4.00-7 4PR
    4.00…タイヤ幅(インチ)4.00×25.4=101.6㎜、
    7…リム径(インチ)7×25.4=177.8㎜
    4PR…4プライ・レーティング、綿コード4プライ相当の強度を持つ

    下図のタイヤは狭い畝間などの培土で使われる。



    ゴムラグタイヤ
    タイヤ



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