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第21回:コンバインのオイル交換について - SR35



今回は、クボタ・コンバインSR35のオイル交換について記載します。

まだまだ現役で使われている機械なので、しっかりオイル交換して、少しでも長く使いましょう。

作動油タンク付きコンバイン(中型以上)のオイル交換について、共通する主要な3ヵ所を中心に説明します。


本機:クランク・ケース(エンジン)8.5ℓ/エンジン・オイル・フィルタ/ミッション・ケース10ℓ/油圧オイル22ℓ/油圧オイル・フィルタ/HSTオイル・フィルタ


必要工具と道具:  12、14㎜ボックス・レンチまたはメガネ・レンチ、延長ソケット、17㎜ボックス・レンチ、エレメントはずし、ウォータ・ポンプ・プライヤ(キャップを緩めるため)、オイル・ジョッキ、じょうご(注入口が細いため、作業し難いため)、低床廃油箱×1、大容量廃油箱×2(20ℓクラス)、ウエス、潤滑剤、段ボールの切れ端(縦横:200㎜×200㎜程度)
19㎜ボックス・レンチとメガネ・レンチ、モンキ・レンチ


ドレン・ボルトは、分かり易いように赤い色を塗りました。
通常は白い塗料が塗られています。


◎エンジン・オイルとエンジン・オイル・フィルタの交換…交換時期:オイル100時間毎、フィルタ200時間毎

SR35 エンジン・オイル 排出口ドレン・ボルト(頭部14㎜)を取り外します。

SR35 エンジン・オイル 排出オイルが抜け出したら、エンジン・フードを開けます。

SR35 エンジン・オイル 注入口オイル・キャップ(正ネジ)を取り外します。

シリンダ・ヘッド・カバーの上にあります。

SR35 エンジン・オイル 注入口 オイル・キャップ 取り外し注入口からエアが抜け、オイルは抜け易くなります。

SR35 エンジン・オイル・フィルタ 取り外し前オイル・フィルタ(正ネジ)を取り外します。

籾タンク側なので、籾タンクを開けます。

接合面をウエスできれに拭き取ります。

埃が入らないように注意しながら、潤滑剤で接合面を簡単に洗浄しておきます。

SR35 エンジン・オイル・フィルタ 取り付け前新品オイル・フィルタを取り付けます。

取り付け前は、オイル・フィルタのシール部に薄くエンジン・オイルを塗付しておきます。

オイル・フィルタは手で締め付けますが、シール部が接触してから3/4回転くらい回せば十分です。

SR35 エンジン・オイル 検油棒 注し込み箇所オイルの検油棒はセル・モータの横にあります。

SR35 エンジン・オイル 検油棒注入口からエンジン・オイルを入れます。

オイルは検油棒のゲージの上限線の所まで入れます。

オイルを入れた後は、一度エンジンを始動し数分回して止め、4~5分待ってからもう一度検油棒を確認します。

足りない場合は上限線のところまで追加します。



◎ミッション・オイルの交換…交換時期:300時間毎

SR35 ミッション・オイル 排出口エンジンを始動して刈取部を最上げ位置、深さチェーンを最深位置(上方向)にしておきます。

また、機体を最上位置にするとやり易いと思います。

SR35 ミッション・オイル 排出ドレン・ボルト(頭部17㎜)を取り外します。

SR35 ミッション・オイル 注入口オイル・キャップ(正ネジ)を取り外します。

ちょうどミッション・ケースの真上にあります。

手で緩まない場合は、ウォータ・ポンプ・プライヤなどで摘まんで回すと簡単に緩みます。

SR35 ミッション・オイル 注入口 オイル・キャップ 取り外し注入口からエアが抜け、オイルは抜け易くなります。

前項の写真では、既に廃油箱にオイルが溜まって溢れそうですが…。

オイルが完全に抜けたら、パッキンを忘れすにドレン・ボルトを取り付けます。

SR35 ミッション・オイル 検油口検油口ボルト(頭部12㎜)を取り外します。

ミッション・ケース左側にあります。

12㎜ボックス・レンチと延長ソケットが必要です。

SR35 ミッション・オイル 検油注入口からミッション・オイルを入れます。

検油口からオイルが溢れ出るまで入れますが、約10ℓ入ります。

溢れ出したら検油口ボルトを取り付けます。
次いでオイル・キャップも取り付けます。

オイルの注入は、刈取部と運転席前の間から行うのが一番やり易いと思います。



◎作動油(油圧オイル)の交換と油圧オイル・フィルタ、HSTオイル・フィルタの交換…交換時期:全て300時間毎

SR35 油圧オイル 排出ミツション・オイルの交換を終えたら、作動油を抜きます。

ドレンボルト(頭部17㎜)は、作動油タンク下部にあります。

段ボールの切れ端などでオイルの抜き道を作らないと、地面やクローラがベタベタになります。

SR35 油圧オイル 注入口オイル・キャップ(正ネジ)を取り外します。

作動油タンクの上にあります。

手で緩まない場合は、ウォータ・ポンプ・プライヤなどで摘まんで回すと簡単に緩みます。

SR35 油圧オイル 注入口 オイル・キャップ 取り外し注入口からエアが抜け、オイルは抜け易くなります。

最初でも途中でもいいので、キー・スイッチONにして、刈り取り部を最下位置まで下げておきます。

油圧シリンダ内のオイルを少しでも抜くためですが、しかしながら、油圧ポンプやホース内のオイルは完全には抜けません。

これは仕方ありません。

SR35 作動油タンク オイル・キャップオイル・キャップです。

ミッション・ケースのオイル・キャップと同じです。

SR35 HSTオイル・フィルタ 取り外し前HSTオイル・フィルタ(正ネジ)を取り外します。

エンジン・フードを開けて、ブレーキ・ペダルの横にあるカバーを開けば見えます。

SR35 HSTオイル・フィルタ 取り外し後接合面をウエスできれに拭き取ります。

埃が入らないように注意しながら、潤滑剤で接合面を簡単に洗浄しておきます。

その後、新品のHSTオイル・フィルタをエンジン・オイル・フィルタと同じ要領で取り付けます。

SR35 油圧オイル・フィルタ 取り外し後油圧フィルタ(正ネジ)も取り外します。

オイルが完全に抜けたら、パッキンを忘れすにドレン・ボルトを取り付けます。

そしてエンジン・オイル・フィルタと同じ要領で、新品の油圧オイル・フィルタを取り付けます。



SR35 HSTオイル吸入フィルタ 取り付け箇所HSTオイル吸入フィルタは、マニュアルでは300時間で洗浄、600時間で交換とありますが、ここでは行いませんでした。

行う場合は、 作動油タンクの全面にある頭部12㎜の固定ボルト3本を外して、吸入管を取り外します。

HST吸入フィルタは、この吸入口にあります。

HST吸入フィルタの洗浄は、灯油に浸けて歯ブラシで磨き、最後はやはりコンプレッサでエア吹きして行います。

取り付け時には、吸入管プレート部分のOリングを交換したほうが無難です。

交換しないと、ここからオイル漏れする可能性があります。

SR35 油圧オイル 検油注入口から油圧オイルを入れます。

検油口ボルト(頭部12㎜)を取り外し、検油口からオイルが溢れ出るまで入れます。

溢れ出したら検油口ボルトを取り付けます。

次いでオイル・キャップも取り付けます。

エア抜きについてですが、オイル・ポンプのエア抜き用ボルトを外し、数秒間エンジン始動するといったエア抜き作業はありません。

しかし一応はエンジンを始動し、簡易的なエア抜きを行います。

エンジンを中回転くらいにして、刈取部を最上位置に数秒間し続けます。

次に手動SWで、機体を最上位置に数秒間し続けます。

最後に刈取部、機体を最下位置にしてエンジンを止めます。

その後、数十分経ってから検油口ボルト取り外して検油します。

検油口からオイルが出てこなければ、出てくるまでオイルを追加します。

SR35 エンジン・オイル・フィルタ HSTオイル・フィルタ 油圧オイル・フィルタ交換したオイル・フィルタです。

左からエンジン・オイル・フィルタ、HSTオイル・フィルタ、油圧オイル・フィルタです。

これだけオイル交換を行うと、軍手をはめていても大抵はオイルで手が汚れます。

私は然程気にならないタイプの人間ですが、どうしてもオイルで汚れるのが嫌な人は、使い捨てのビニール手袋とか便利です。



◎フィード・チェーン・ギヤ・ケースのオイル交換…交換時期:分解整備時

SR35 フィード・チェーン ギヤ・ケースフィード・チェーン後方にあります。

頭部12㎜の固定ボルトを外してカバーを取り外します。

SR35 フィード・チェーン ギヤ・ケース オイル排出口プーリを外さないとドレン・ボルト(頭部14㎜)を外すことが出来ないので、分解整備する時がオイル交換のタイミングとなります。

SR35 フィード・チェーン ギヤ・ケース オイル注入口オイルの注入口です。

通常の点検では、オイル・キャップを外し、針金などを差し込みギヤ・オイル(ミッション・オイル)が入っているか確認します。

適量は0.3ℓです。


◎トラック・ローラのオイル交換…交換時期:800時間毎(100時間毎点検)

SR35 トラック・ローラジャッキ・アップしてクローラを外します。

四角プラグ(正ネジ)を取り外します。

カバー付きのトラック・ローラ(最後部など)は、袋ナット(頭部19㎜)を外しカバーを取り外します。

四角プラグの取り外しは、モンキ・レンチで外せます。

指定では800時間(オーバ・ホール時)で交換となっていますが、ミッション・オイルの交換時に、次いでに交換しても良いかと思います。

SR35 トラック・ローラ オイル排出排出口(注入口)を下に向ければオイルは抜けます。

完全に抜け切るまで時間がかかります。

ギヤ・オイルを注入するときは、注入口(排出口)を上に向けて入れます。

油注しを使ってギヤ・オイルを約0.1ℓ入れます。
ギヤ・オイルはミッション・ケースで使用したオイルで構いません。

四角プラグはPT(テーパ)ネジですが、水混入の可能性が多少あるので、シール・テープを巻いて取り付けます。

SR35 トラック・ローラ オイル栓 交換 グリース・ニップル800時間毎にオーバ・ホール(フローティング・シール、ベアリング交換など)となっています。

しかしながら数が多く大変な作業なので、指定時間でがたつきがなければ、オーバ・ホールをせず、グリース式に変えてしまうのもありかと思います。

この場合、毎シーズン毎にグリース・アップします。

グリース・ガンを使って詰め込んだグリースが、オイル・シール(フローティング・シール)を内部から押し出す事になるので、ある意味自分でシールを壊すことになりますが…。



作成日:2011/2/17