第32回:乾燥機の上部コンベア軸の交換について

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カネコ乾燥機SSA160で、上部コンベアのスクリュ(コンベア)軸交換について記載します。


乾燥機には、他の農業機械と同じように幾つかの消耗品があります。
また消耗品なので、消耗すると当然問題を引き起こします。


張込や循環(通風循環、熱風乾燥)で詰まる症状の主な原因は、入れ過ぎによる上部コンベア圧迫か、次の何れかの部品の消耗です。


①Vベルトが亀裂、摩耗している

②昇降機のバケットが摩耗している

③上部コンベアのスクリュが摩耗している

④下部コンベアのスクリュが摩耗している

この中で、②の「昇降機のバケットが摩耗している」と、③の「上部コンベアのスクリュが摩耗している」が特に多いかと思います。


④の「下部コンベアのスクリュが摩耗して詰まる」は、このクラスの小型乾燥機ではまずありません。
(絶対にないとは言えませんが…)

ちなみに下部コンベアのスクリュが摩耗すると、スクリュの上に籾がてんこ盛りになって詰まります。

そして、循環時よりも排出時のほうが詰まります。


コスト的に判断が難しいのは、Vベルト(主モータ、昇降機)の摩耗はなくて、昇降機のバケットと上部コンベアのスクリュが共に摩耗している場合です。

この場合は、バケットだけ交換すると送り過ぎて上部コンベアで余計に詰まる恐れがあるので、上部コンベアのスクリュ軸を先に交換するべきです。

それでも詰まるなら、次に昇降機のバケットを交換するといった手順が良いかと思います。


他、実際にあった症状を幾つか上げてみました。

数個のバケットが外れている。
ナットの外れやバケット・ボルトの欠落(平ベルトの摩耗、劣化)。
平ベルト(バケット・ベルト)の繋ぎ目からすぐのバケットだけ著しく減っている。
平ベルトの繋ぎ目がある分、バケットとバケットの間隔が広くなっていて減り易い。
平ベルトが弛んで滑っている。
平ベルトの摩耗、劣化。
手で1周させて破れていないか確認する。
平ベルトが芯ズレして昇降機ケース内側に接触している。
平ベルトの軸受けベアリングの破損時や、下部コンベアのスクリュの摩耗などで詰まった時に起こる事がある。
繰出ロールに異物が挟まり回らない。(循環時)
1番最悪なトラブル。
異物を取り除くには、乾燥機内の籾を殆ど排出しなければならない。
蛇が巻き付いている。
特に稀な症状。

何にしても、必ず昇降機のバケットと上部コンベアのスクリュは確認する事です。

上部コンベアのスクリュは、昇降機頭部の点検口から確認出来ます。



詰まりを取るには!?

昇降機下部の掃除口と、下部コンベアの掃除口(下部コンベア残米処理レバーを開ける)から籾を掃き出します。

手で昇降機のプーリを楽に回せるようになるまで、籾を掃き出します。

手で昇降機のプーリが回らなければ、モータの力でプーリは回せません。


必要工具と道具:  10㎜ボックス・レンチ(メガネ、スパナ)、3㎜6角レンチ、プラス・ドライバ、ポンプ・プライヤ、鏨、ギヤ・プーラ、鑢、紙鑢、ハンマ(大)、角材、潤滑材、緩み止め剤(取り外し可能タイプ)、梯子


※一部、他の乾燥機の写真を使っています。


昇降機の上部カバーを外し、Vベルトを外します。

そして、昇降機の頭部(吐出し部)を外します。

固定は頭部10㎜のボルトナット4本組、そしてナット2個です。

屋根に該当する左右の上部カバーを取り外します。

上部カバーの固定は、楔6本と蝶ネジ4本です。

排塵機も取り外します。

固定は楔2本ですが、排出管(ホース)を外さなければなりません。

昇降機の頭部と上部コンベアの連結楔を外します。

ここまで述べた事は、どの順番で行っても構いません。

乾燥機の中に入り、上部コンベアの固定ボルト4本(前後)を外します。

その後、残米処理レバーを外します。

ちなみに、中~大型の乾燥機では内部補強板の上に乗って作業するので、足を踏み外さないように、より気を付けなければなりません。

上部コンベアを取り外します。

重量的には1人で持てる重さなので、私はいつも1人で行っていますが、安全のため2人で行うのがベストだと思います。

ここまで昇降機の頭部を外して行う方法を述べてきましたが、小型乾燥機なので昇降機を外して行っても構いません。

ちなみに20石くらいまでの乾燥機なら、昇降機はそれなりに重いですが一人で外せます。



左写真でも分かるように、スクリュの先のほうが減っています。

手でプーリを回した感じでは、ベアリングは問題ありません。

したがって前後のベアリング・ユニットはそのままで、スクリュ軸だけ交換します。

一応、スクリュ軸を外した時点でベアリングの状態(グリース切れ感、がたつき)を再確認しますが…。

頭部13㎜の固定ボルトを緩め、プーリを抜きます。

殆どの場合、ギヤ・プーラは必要ありません。
使う必要があっても、酷く膠着していることはまずないと思います。

私のスクリュ交換経験数は3桁になりますが、プーリを外すのに苦労した覚えはありません。多分…。

偏心カラーも外します。

偏心カラーは、6角穴付きボルト(穴部3㎜)を十分緩めてから、目一杯左に回せば外れます

固い場合は、潤滑材を注してポンプ・プライヤなどを使って回します。

時々、ネジ山に塗ってあるネジ緩み止め剤が染み出して固まっていて、それが原因で偏心カラーが膠着していることがあります。

6角穴付きボルトの締付跡が軸に残っているので、鑢で削って跡(バリ)を消しておきます。

この作業を怠ると後で大変です。

さらに紙鑢で軸表面全体を軽く磨いたら、潤滑剤を吹き付け粉塵を落とします。

スクリュ軸は後側へ抜いて外すので、後側のベアリング・ユニットとプレートを固定しているボルトを全て外します。

防塵キャップを外し、固定ボルト(+トラスネジ5本、頭部10㎜ナット3個、頭部10㎜ボルト1本)を全て外したところです。

スクリュ軸を外します。

スクリュ軸前側から、軸先端に角材をあてがい大ハンマで叩きます。

出来るだけ大きいハンマで、ガツンと思い切って叩きます。

小さいハンマでは駄目です。

このような状態で外れます。

大抵は簡単に外れるのですが、時々膠着が酷く、叩いても外れないときがあります。

その場合は、左写真の軸受ユニット(ベアリング・ユニット)を外してギヤ・プーラを使います。

この場合、軸を少し引き出すために最初に後側の軸受ユニットを外すか、軸を切断しておく必要があります。

または、ベアリング・ユニットを交換することにして、ディスク・グラインダでベアリング・ユニットを軸ごと切断して外せばいいだけです。

ベアリング・ユニットはギヤ・プーラを使って外すのが基本ですが、なかなか上手く外れないことがあります。

また、左写真のものだと変則がけになるなので、多少やり難いです。

もちろん潤滑剤を吹き付けて行います。

上手くいかないときは後項の方法で行います。

ベアリングの内輪に鏨を当てて、その上をハンマで叩きます。

少し抜けたら潤滑剤を注します。

そして叩き位置をずらします。
これの繰り返しです。

ベアリングを再利用するので、ラバー・シールを叩かないように上手に叩きます。

取り外したスクリュ軸と新品のスクリュ軸です。

全然違いますね。

上部コンベアのスクリュは先のほうが減ります。

組付け後の写真です。

プーリの外面とスクリュ軸の先端が面一に揃っていないと、スクリュ軸の打ち込み量不足です。



☆組付け時の注意事とアドバイスです。

偏心カラーについて
偏心カラーは、偏心カラー内側とベアリング内輪の楕円(凹凸部)を合わせてベアリング内輪に押し当てた後、右(回転方向)に当たるところまでポンプ・プライヤでしっかり回しておきます。

6角穴付きネジは、ネジ緩み止め剤を塗ってしっかり締めます。
ボルトとナットの締め付けについて
穀物乾燥調製メーカ全体に言えることですが、使用されているボルトの強度が弱いです。

刻印のないボルトが主なので、成人男性が全力で締めてたら簡単に折れます。
逆に、クボタなどが主に使っている「7」の刻印が入ったボルトは、簡単には折れません。

必要に応じたボルトが使われているでしょうから、批判するつもりはありませんけど…。

ボルトの軸径からみる締付トルク表(トルク・レンチ必要)の通り行うのも大事かもしれませんが、試しに一度ボルトを故意に折って感覚を覚えるのが、私はベストだと思います。

例えば、どうでもいいボルトにナットを入れて折ってみるのです。

個人的な感覚で言いますと、普通サイズのメガネ・レンチを使って、頭部10㎜のボルトとナット(軸径6㎜)は普通の成人男性の片腕6~7割の力で締め付けるのが、丁度良い締付トルク!?だと思います。

プーリの固定ボルト(軸径8㎜)は、締め過ぎるとボルトが折れるかプーリに亀裂が入ります。
これは、片腕7~8割の力で締め付けると丁度良いかもしれません。
スクリュ軸の芯出しについて
手でプーリを回した時、なるべく抵抗感が無いようにということです。

前後のベアリング・ユニットを調整してナットを締め付けます。
使っているうちに自動調心するので、気にする程度で構いません。
乾燥機への取り付けについて
多くの場合、上部コンベアと昇降機の吐き出し部を合わせる時や天板を取り付ける時に、楔の取付位置が合わない、上手く嵌らないなど、乾燥機全体の歪みによる問題が生じます。

シノとプライヤを使えば、殆どの場合は対処出来ます。
乾燥機は構造上、倉庫の床面が水平でも多少の歪みは生じるものです。
したがって組付けの際、本体の歪みなどはそんなに気にしてはいけません。

完璧に近づける事は可能ですが、程々にしておきましょう。


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作成日:2014/1/10