第40回:トラクタのタイヤ交換について

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今回は、トラクタのタイヤの交換方法について説明します。

タイヤ・チェンジャを使わず、全て手作業での嵌め換えになりますが、個人的にやり易いと思う手順で述べています。

交換するのは前輪タイヤですが、サイズが大きい後輪でも基本は同じです。

しかし、(古い)田植機などの細いタイヤの交換は、チューブを破らないようにより気を付ける必要があり難易度が上がります。


トラクタをジャッキ・アップして、タイヤを外したところからの説明です。


必要工具と道具:  タイヤ・レバー×2、ハンマ、ビード・ブレーカ、ムシ外し、石鹸水、コンプレッサ、エア・ゲージ、カップ・ブラシ・グラインダ、角材、M8平座


エア・バルブからムシ(バルブ・コア)を外します。

これで、チューブから空気が抜けます。

ビード・ブレーカでビードを落とします。

ビード・ブレーカが無くてもビードを落とす事が出来ますが、他の方法では作業が大変になります。

他の方法とは、タイヤ・レバーを2つ使い、テコの原理で少しずつ位置をずらしながらビードを落としていく方法と、ハンマで叩いてビードを少しずつ落としていく方法などです。

これらの方法は、へばり付きが酷い古いトラクタやサイズの大きいものになると更に大変です。

ビードが落ち難い場合は、タイヤ側面(サイド・ウォール)の下に角材を入れて行います。

角材を入れてタイヤの位置を高くすることで、よりビードが落ち易いです。

タイヤの向きを変えて、反対面もしっかり落とします。

タイヤの裏表、ビード全面がしっかり落ちている事を確認します。



ビードとリムの間にタイヤ・レバーを入れ、ビードを起こしてリムを越します。

タイヤ・レバーは入れたままで、その状態を維持しておきます。

最初にうちは、指を入れてエア・バルブ回りを触りチューブの位置を確認出来るので、左写真のようにエア・バルブの少し手前から起こし始める事で、タイヤ・レバーの先端でチューブを引っ掛ける事なく出来ます。

とは言っても、チューブも交換するのでどうなっても構いませんが…。

2本目のタイヤ・レバーを、エア・バルブをまたいだ辺りに入れて、ビードを起こしてリムを越します。

左写真のように、足でサイド・ウォールを押さえながら行うとやり易いと思います。

ここでは右回りで外しています。

タイヤ・レバーで起こすのに、然程力を入れる必要はありません。

力を入れないとリムを越せないようなら、無理に起こさず一旦止めます。

そして、サイド・ウォールの下に角材を入れるなどして、裏面のビード全面を再度落とし込みます。

ビード・ブレーカでビードを落としても、多少なり元の形状に戻ろう(自然にはまろう)とする事があります。

これは、ビードがリムにはまるのではなく、ビードがリムに乗り掛かった状態になるのですが、タイヤの脱着作業には障害です。

このようにサイド・ウォールの下に角材を入れる事で、下面のビードがリムに乗り掛からないように出来ます。

両面のビードが全て落ちきった状態を維持している事で、脱着作業でビードは簡単にリムを越える事が出来るのです。

表面は、足で残りのサイド・ウォールを踏み込んでビードを再度落とし込みつつ、タイヤ・レバーでビードを起こしてリムを越します。

決して力作業ではありません。

表面のビード全体がリムを越したところです。

ここでは、エア・バルブがある表面から外していますが、手作業での嵌め換えなので裏面から外しても構いません。

チューブを外します。

タイヤの中に手を入れ、引っ張り出すだけです。

もう片方のリムからビードを外し、タイヤとホイールを分離します。

タイヤ・レバーを2つ使って起こしていけば難なく外せます。

タイヤ・レバーを差し込んでからですが、他の方法として、ビードをハンマで叩いてリムから切り離したり、足でホイールを押すのも良いかと思います。

ホイールは錆びや土で汚れています。

この状態では、新しいタイヤを組み込み出来ません。

カップ・ブラシ・グラインダで磨いて汚れを落とします。



新品タイヤにホイールを置きます。

外したタイヤと同じ向きか確認したら、ビード全体に石鹸水を塗ります。

片方のリムは、手でホイールを押し込むだけで簡単に入ります。

表面を最後に嵌め込むので、表面を下にしています。

無論、手での嵌め込みなので、どちらが先で後とか決まりはありません。

ここでは、エア・バルブがある表面を後で嵌めこみます。

タイヤ・レバーは必要ありません。

手でホイールを押し込むだけで全て入ります。

真夏の暑い時期なので、あっという間に石鹸水が乾いてしまいます。

チューブを置き、エア・バルブの向きに間違いがないか確認します。

この向きです。

チューブを入れ込み、バルブ口からエア・バルブを出します。

エア・バルブは、左写真のようにM8の平座を入れて落ちないようにしておきます。

組み込み時にタイヤ・レバーの先端でチューブを破く恐れがあるため、ムシを外してチューブに少し空気を入れて少しだけ膨らませておくのも良いですが、ここでは一切空気を入れません。

チューブに少し空気を入れると、捻じれなどが解消されてタイヤ・レバーの先端で噛み込む可能性が軽減されますが、逆にビードを中から押し気味になるので、タイヤの組み込みが少し難くなります。

隙間に手を入れ、チューブがリムより奥(ドロップウェル)にいるか確認します。

タイヤの嵌め込みで一番注意しなければいけないのが、タイヤ・レバーの先端でチューブを引っ掛けて破く事です。

これを防ぐため、チューブ全体が奥にいる事を確認します。

トラクタのタイヤは幅があり、チューブが奥で落ち着く空間が十分あるので、チューブ全体が奥にいる事を確認出来れば空気を入れなくても大丈夫という事です。

ビード全体に石鹸水を塗ります。

真夏の暑い時期なので直ぐに乾きます…。

左写真のように、エア・バルブから少し離れたところを挟むように足でビードを入れます。

ここでは、エア・バルブの180度反対側からではなく、エア・バルブのある側から入れ始めます。

理由は、隙間が多い入れ始めは、手で触ってチューブの位置を確認出来るので、間違ってタイヤ・レバーの先端でチューブを引っ掛ける事がないからです。

このように、最も破り易いエア・バルブ回りを先に入れておく事で、残りのビードを安心して嵌める事が出来きます。

嵌め込んでいくにつれて手(指)でチューブの位置を確認出来なくなりますが、事前にチューブが奥にある事を確認しているので最後まで問題ありません。

サイド・ウォールを足で踏み込んだ状態で、タイヤ・レバーを入れてビードを起こします。

指を入れてチューブの位置を確認出来るうちは、タイヤ・レバーを深く入れても構いません。

一応、チューブを噛み込んでいないか確認しながら行います。

再び確認します。

仮に、タイヤ・レバーでビードを起こすのに力がかなり要るようなら、一旦止めます。

そして、下側のサイド・ウォールの下に角材を入れて、下面のビード全体が下がらないようにします。

ビード全体が然るべく位置にいれば、タイヤ・レバーでビードを起こす力はそんなに必要ないのです。

最後のほうは指が入らないので、浅めにタイヤ・レバーを入れてビードを起こします。

タイヤ・レバーを起こす力は殆ど入りません。

何度も言いますが、力作業ではありません。

しっかりとした手順であれば、石鹸水も要らないくらい簡単に入ります。

強度(プライ数)の高いタイヤをはめる場合は、その分入れ難くなりますが…。

リムとビードの隙間を確認し、チューブの噛み込みがないか確認します。

空気を入れます。

「バチッ、バチッ」と音がして、ビード全体がしっかりリムに入った事を確認します。

その後、適正空気圧に調整します。

トラクタのタイヤの適正空気圧は、側面(サイド・ウォール)に記載してあります。

このタイヤには、リム組み時の空気圧は250kPa以下、使用時の空気圧は200kPa以下とあるので、ビードをリムに入れる時は250kPaまで入れる事ができ、その後、すぐに200kPaまで落とすという事です。



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作成日:2017/6/18