第6回:トラクターのオイル交換について - GL240



今回は、日の本トラクタNX240(クボタGL240)のオイル交換について記載します。

NX240本機:  クランク・ケース(エンジン)5.7ℓ/エンジン・オイル・フィルタ/ミッション・ケース35ℓ/ミッション・オイル・フィルタ/前輪車軸ケース3.2ℓ
AS155-2ロータリ:  チェーン・ケース1.7ℓ/ベベルギヤ・ケース1.2ℓ/ベアリング・ケース(グリス注入)


必要工具と道具:  12、14、17、24、27mmメガネ・レンチ、モンキー・レンチ、エレメント脱着工具、オイル・ジョッキ(ノズル先端が細いタイプ)、ウエス、シール・テープ、低床廃油箱×1~2、大容量廃油箱(高さ30cmくらいまでで20ℓクラス)×3


◎エンジン・オイルとエンジン・オイル・フィルタの交換…交換時期:オイル100時間毎、フィルタ200時間毎

オイルパン、クランク・ケースのオイル・ドレンクランク・ケースのドレン・ボルトはエンジン真下のオイル・パンに2箇所あります。

左右の両方のドレン・ボルト(頭部17㎜)を外しますが、パッキンを無くさないようにします。

エンジン・オイル・フィルタエンジン・オイル・フィルタは燃料コックの横にあります。

まず、固定ボルト(頭部12㎜)4本を外して側板を外します。

オイル・フィルタ(正ネジ)の取り外しは手で行いますが、固い場合はエレメント脱着工具を使います。

取り付けは、オイル・フィルタのシール部にエンジン・オイルを薄く塗付してから手で行いますが、シール部が接触してから、3/4回転(1回転弱)くらい回せば十分です。

ちなみに、オイル・フィルタの交換はエンジン・オイルを入れた後でも構いません。

クランク・ケースのオイル注入口と検油棒エンジン・オイル注入口は発電機(オルタネータ)の下にあります。

また、検油棒はその右下のエンジン・ブロックにあります。

エンジン・オイルは検油棒のゲージのHの所まで入れます。

エンジン・オイルを入れた後は一度エンジンを始動し数分回して止め、オイル・フィルタからオイル漏れがないか確認します。

そして、10分くらい待ってからもう一度検油棒を確認します。

足りない場合はHのところまで追加します。

基本はH-L間に油面があればよいのですが、Hまで入れておきましょう。



◎ミッション・オイルと油圧オイル・フィルタの交換…交換時期:オイル400時間毎、フィルタ200時間毎

ミッション・ケースのオイル・ドレン前側ミッション・ケースのドレン・ボルトは4箇所あるので全て外します。

一つは、ミッション前部の真下にあります。

ミッション・ケースのオイル・ドレン中央一つは、ミッション中央部の左側真下にあります。

ミッション・ケースのオイル・ドレン・ボルト左写真は、取り外した前者二つのドレン・ボルト(頭部24㎜)です。

ゴム付き座金(パッキン)が付いているので、無くさないように気を付けます。

ミッション・ケースのオイル・ドレン後輪車軸残り二つのドレン・ボルト(頭部14㎜)は後輪車軸ケースの下側にあります。

左右ともオイル抜き口があるので両方外します。

これもゴム付き座金(パッキン)が付いているので、無くさないように気を付けます。

ミッション・オイル・フィルタ取付口油圧オイル・フィルタは、ミッション中央部の右側にあります。

オイル・フィルタ(正ネジ)の取り外しは手で行いますが、固い場合はエレメント脱着工具を使います。

ミッション・オイル・フィルタ取り付ける前に、オイル・フィルタのシール部にエンジン・オイルを薄く塗付します。

ミッション・オイル・フィルタ取付オイル・フィルタは手で締め付けます。

エンジン・オイル・フィルタと違いシール部が接触してから、2/3回転くらい回せば十分です。

ミッション・ケースのオイル注入口ミッション・オイル注入口は座席後側にあります。

キャップ(正ネジ)はOリング付きです。

オイルは、粘度指数グレード、使用条件があえば基本的にどこのオイルを使っても問題ありませんが、ミッション・オイルはなるべく専用のものを入れます。

ミッション・ケースのオイル検油窓ミッション・オイルの規定量は35ℓですが、ミッション・オイルを検油窓の中心まで油面がくるまで入れます。

エンジンを始動し、中回転でポジション・レバーを最上位置にしてロータリを上げ、姿勢手動レバーを数秒間右上げ(又は左上げ)にし続けて油圧をリリーフさせ、リフト・シリンダ内に残っているオイルを循環させます。

エアは自然に抜けますが、これをやる事によって抜ききれていない古いオイルが循環しエアも抜けます。

その後ロータリを水平に戻し、ポジション・レバーを最下位置にしてロータリを下げエンジンを停止します。

数十分経ってから点検窓を確認します。

足りなければ、点検窓の中心まで油面が上がるまでオイルを追加します。



◎前輪車軸(フロント・アクスル)ケース・オイルの交換…交換時期:300時間毎

前輪車軸ケースのオイル・ドレン前輪車軸ケースのドレン・ボルトは前輪車軸の下側にあります。

左右ともオイル抜き口があるので両方外します。

低床廃油箱を置き、段ボールの切れ端などを使い廃油がこぼれないないようにします。

内圧を逃がさないとオイルが抜け難いので、注油口のボルト(頭部27㎜)を外します。

前輪車軸ケースのオイル・ドレン・ボルトドレン・ボルトは四角プラグ(正ネジ)を使っているので、モンキー・レンチを使います。

取り付ける時はシール・テープを巻く、若しくは液体ガスケット塗ってから取り付けます。

前輪車軸ケースのオイル注入口注油口のキャップ(ボルト)は前輪車軸ケースの左側真上にあります。

27㎜のメガネ・レンチ、若しくはボックス・レンチを使います。

ミッション(ギヤ)・オイルは、空気が抜けず入り難いので少しづつゆっくり入れます。


◎ロータリ・ベベルギヤ・ケース・オイルの交換…交換時期:100~150時間毎

ロータリ・ベベルギヤ・ケースのオイル・ドレンベベルギヤ・ケースのドレン・ボルトはPIC軸の真下にあります。

多少、外し難いのでロータリを外したほうがやり易いです

ベベルギヤ・ケースのオイル・ドレン・ボルト左写真は、取り外したドレン・ボルト(頭部17㎜)です。

ゴム付き座金(パッキン)が付いているので、無くさないように気を付けます。

ベベルギヤ・ケースのオイル注入口ベベルギヤ・ケースのオイル注入口は真上にあります。

キャップ(正ネジ)はOリング付きで、手で取り外しできます。



◎ロータリ・チェーン・ケース・オイルの交換…交換時期:100~150時間毎

ロータリ・チェーン・ケースのオイル・ドレンチェーン・ケースのドレン・ボルト(頭部12㎜)はケースの下側にありますが、構造上ロータリを外して、マストを起こさないと完全には抜くことが出来ません

ロータリを外さず行う場合は、1~2割は抜けずに残るので、次の交換時期をチェーン・ケースだけ少し早めるなどします。

ここでは、チェーン・ケースのプロテクタも外しています。

プロテクタの固定は、ボルトナット(頭部12㎜)のとも締め2箇所です。

プロテクタプロテクタの底面は磨り減って穴が開き易いです。

穴が開いた場合は、鉄板をあてて溶接するか交換します。

そのまま使い続けると、チェーン・ケース底が磨耗、腐食し油漏れの原因になります。

チェーン・ケースのオイル注入口チェーン・ケースのオイル注入口は、チェーン・ケースとベベルギヤ・ケースの間にあります。

キャップ(正ネジ)はOリング付きで、手で取り外しできます。

注油時は空気の抜け道を作るため、検油ボルト(頭部12㎜)を外して注油します。

この検油ボルト穴からオイルが溢れるくらいが適量です。(チェーン・ケースが垂直な状態)



◎ロータリ・ベアリング・ケースのグリス注入

ロータリ・ベアリング・ケースチェーン・ケースとは反対側のケースが、ベアリング・ケースです。

蓋は頭部12㎜のボルト4本で固定されています。

ベアリング・ケースの蓋を外した後蓋はパッキンを破らないように、スクレーパなどで上手に外します。

仮に破れた場合は、その上に液体ガスケットを塗付する、若しくはパッキンを作り直すか注文するかのいずれかです。

ベアリング・ケースのグリス注入後左写真では、LLUやLLBなどのグリース封入式のベアリングが使用されていますが、その上からグリースを塗付するという意味の無い事をしています。

メンテナンスという意味では、ベアリングのラバー・シールを剥がし、グリースを塗付したほうが良いくらいです。

蓋は、磨り減ってる下側を上向きにして取り付けます。


注意事項

必ず、水平な場所でロータリを降ろした状態で行います。

各ドレン・ボルトやオイル・フィルタを外してオイルを抜いたあとは、当たり面双方をウエスなどを使いきれいに拭き取ります。

また、ブレーキ・クリーナや潤滑剤などで洗い流すのもいいと思います。

取り付ける際はパッキンの付け忘れに注意します。



作成日:2009/2/25