HOME修理TOPトラクタ修理

トラクター修理

作業機が上がり下がりしない(GL32)



GL32 油圧レバー ガイド・ストッパクボタ・トラクタGL32で、作業機が上がり下がりしません。

代掻き作業中、急にドライブ・ハローが上がり下がりしなくなったという事で、現場に向かいそこで自動耕深を切った上でポンパ・レバーと油圧レバーの操作を何回か行いましたが、確かに作業機は中途半端な位置で止まったまま上がり下がりしません。

メータ・パネルの「ポンパ・ランプ」がポンパ・レバーの上げ下げにしっかり反応する事と、「自己診断ランプ」が点灯点滅していない事、 そしてコントローラの「モンロ/3P切換」が標準ロータリ位置において、モンロ手動SWを押すと油圧が働いて作業機は傾き、離すとしっかり水平位置に戻る事から他の制御は問題なさそうです。

この日は雨降りで、しかも水の入った田圃の中なので、とりあえず強制的に作業機を上げて田圃から出します。

強制的に作業機を上げる方法は、モンロ手動SWのカプラを昇降用カプラに差し換える方法と、油圧をリリーフさせる方法の2つがあります。

田圃から出たら自己診断機能を使い各センサの良否を判断したいので、後者の油圧をリリーフさせる方法にします。

油圧をリリーフさせる時、構造的に作業機が一番上まで上がるようになっています。

GL32 ガイド・ストッパ 横ずらし 油圧レバー 最上位置油圧レバーのガイド・ストッパを外して、エンジンを始動し油圧レバーを一番上まで上げます。

油圧レバーの角度(位置)を検出しているポジション・センサの不良を疑っていたので、はたして油圧をリリーフ出来るのかなと思っていましたが、難なく作業機が一番上まで上がってから油圧をリリーフさせる事が出来ました。

この事実から、ポジション・センサとそのカプラ配線は通電できる状態、つまり断線していない事がはっきりします。

しかし、ポジション・センサはまだ正常だとは言えません。

これは、油圧レバーが最上位置にいる場合だけポジション・センサの抵抗値が正常値になっていたとしたら、ECUはこれを経由した信号(電圧)を受け取って油圧をリリーフさせる指令を出してしまうからです。

この事を踏まえ、一旦油圧がリリーフしない位置まで油圧レバーを下げてみると、やはり作業機は全く下がりません。

とりあえず、トラクタを田圃から出して平坦(水平)な場所へ移動させます。

そして、コントローラの 「オート切換」と「モンロ/3P切換」を切り、作業機が水平か適当に確認して、再び油圧レバーを最上位置にします。

今度も無事に油圧をリリーフさせる事が出来たので、エンジンを切ってから油圧レバーのガイド・ストッパを元に戻し、油圧レバーを最上位置にします。

作業機の水平を適当に確認というのは、今回の症状は作業機が上がり下がりしない事なので、モンロ(水平)関係のセンサを無視して構わないという事です。



GL32 自己診断機能 黒カプラ 外し自己診断モードに入ります。

シート下の前面カバーを外し、黒いカプラを外してキーSWをONにするだけです。

トラクター修理」で記載しているGL27の手順と同じですね。

GL32 自己診断機能 メータ・パネル 自己診断ランプ「自己診断ランプ」が4回点滅するので、ポジション・センサに問題があるという事になります。

そうだと思っていたのでとりあえず安心です。

遅い時間なので、この日はトラクタを倉庫に移動させておき続きは翌日になったのですが、一晩経って何と作業機が上がり下がりするようになっていました。

再び自己診断モードに入ってセンサの良否判断をしても、何ら異常を示さなくなっているのです。

症状が出なくなりましたが、念のためポジション・センサ回りを確認しておきます。

GL32 右後輪 取り外し後ジャッキ・アップして右後輪を外します。

ポジション・センサは油圧レバーの支軸にあるセンサなので、右後輪を外さないと確認する事が出来ません。

GL32 右後輪 タイヤ・ハウス 油圧レバー 固定ボルト左写真のように、油圧レバーはタイヤ・ハウス正面板に頭部12㎜のボルト3本で固定されています。

GL32 油圧レバー ポジション・センサ 泥 付着左写真は、油圧レバーを下から覗き込んで撮ったものですが、多くの泥が飛び跳ねしていた事がよく分かります。

目視での確認ですが、ポジション・センサの配線は被覆の破れがなく何ら問題なさそうです。

今回の症状とは関係ありませんが、左写真の油でレバーが濡れている(油漏れのため)ほうは、リフト・シリンダの伸縮を検知しているストローク・センサです。



GL32 油圧レバー 取り外し後固定ボルト3本を外し、油圧レバーを外します。

作業機が上がり下がりしなくなった原因は憶測ですが、ポジション・センサ、またはそのカプラ配線に泥水が浸入し漏電した事でマイコン・ユニットが正しい信号を受け取れなくなったのかもしれません。

そして、夜から天気も回復し一晩で水気も乾いて漏電が収まった事でマイコン・ユニットが正しい信号を受け取れるようになり、作業機が上がり下がりするようになったと考えると辻褄が合います。

GL32 油圧レバー ポジション・センサ カプラ回り既に泥は乾いていますが、代掻き中はそれなりに水が浸入したのかもしれません。

カプラを外します。

GL32 ポジション・センサ カプラ(電源側) 取り外し 洗浄後潤滑材で良いので、カプラに吹き付けきれいに洗浄します。

そして、コンプレッサを使いエア吹き洗浄します。

念のためサーキット・テスタで5Vの出力を確認しておきます。

GL32 ポジション・センサ カプラ(電源側) 配線側カプラの配線側から水が入らないようにシール保護されている部分に、目ではっきりと確認出来るような隙間があります。

経年劣化なので仕方ありませんが、ここから水が浸入して漏電したかもしれません。

GL32 油圧レバー ポジション・センサ 取り外し後油圧レバーとポジション・センサに付着した泥を落とします。

ポジション・センサ軸部の防塵!防水!?シールが傷んで、そこから水が浸入したのかもしれません。

個人的に、この可能性が一番高いと思っています。

GL32 ポジション・センサ 洗浄後 サーキット・テスタ 端子間(両端) 抵抗値 測定サーキット・テスタを使い、ポジション・センサの良否を確認します。

両端の端子間の抵抗を測定します。

GL32 ポジション・センサ サーキット・テスタ 端子間(両端) 抵抗値 測定 結果抵抗値は1.74kΩなので正常な範囲です。

そして、端と真ん中の端子にテスタ棒をあて、レバーを端から端までゆっくり移動させて測定してみたところ、抵抗値は途切れず滑らかに変化したので測定上はOKという事になります。

浸水の可能性から部品(センサ)交換したほうが良いのは分かっていますが、 諸事情により今回は部品交換せずに様子を見ることにします。

大丈夫ならそのままで、再び症状が出たらポジション・センサを交換します。

GL32 ポジション・センサ カプラ回り ビニール・テープ 防水対策折角なので、ビニール・テープでグルグル巻きにしてから元に戻します。

油圧レバーを元に戻し、タイヤを取り付けたら、マイコン・ユニットの微調整(書き換え)を行います。

正常に微調整を終える事が出来たので良しとします。