ディーゼル・エンジンの組み付け

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直列型ディーゼル・エンジンの組み付けに関するもので、私が実際に行った方法を幾つか紹介します。

専用工具を使わず、身近にあるものを利用し工夫して行っています。


◎ピストンをシリンダに入れる

ピストン・リング・コンプレッサを自作します。

屑鉄から適当に鉄板を切り取り、適当に曲げただけのものです。

バリは磨いて落としてあります。

シリンダのボア内壁とピストンの摺動面にエンジン・オイルを垂らしてから、向きを間違えずにピストンをシリンダに入れます。

オイル・リング(一番下のピストン・リング)の手前で止めます。

ここで、オイル・リングの合い口がどこに位置しているか確認します。

一般的にピストン・リングは3本付いているので、3本のリングの合い口がそれぞれ120度づつ離れた位置にいる事を確認します。

左写真のように、自作のピストン・リング・コンプレッサを使いピストン・リングを縮めます。

ピストン・リングを完全に縮めた(合い口が閉じた)状態を維持したまま、ハンマの柄(木)でピストンの頭をやさしく叩いて、ピストンをシリンダに入れていきます。

ピストン・リングの合い口が閉じていれば、間違いなく軽く叩いて入るものなので、無理に叩き入れるのは厳禁です。

無理に入れようとすると、ピストン・リングが破損します。

オイル・リングが入ったところで、一旦打ち込むのを止めます。

仮に打ち込んでしまったら、その分だけ引き抜きます。

セカンド・リングの合い口を再度確認します。

先のオイル・リングの合い口から120度ずれている事を再確認できたら、ピストン・リング・コンプレッサを使い前項と同様に打ち込みます。

トップ・リングも同様の手順で行います。

今回はエンジンを横に倒して行っているため、どうしてもリングの合い口がずれ易く、その都度位置を確認しながら行いました


真上から入れる場合は、一度に全て入れてしまってもいいと思います。

コンロッドの大端部のクランク・メタルがクランクシャフトに収まるところまで入れたら、打ち込み終了です。

もちろん、クランク・メタルにはエンジン・オイルを垂らして(塗付)あります。



◎バルブ・クリアランスの調整(点検)を纏めて行う

第1シリンダを上死点に合わせる事で、他のシリンダのバルブ・クリアランスも纏めて調整します。

フライホイール・ハウジングのタイミング窓カバーを外します。

フライホイールの「1.TC」の刻印を、ハウジングにある合わせマーク(センタ・ポンチで打ち込んだような穴)に合わせると、第1シリンダを上死点に合わせることができます。

合わせマークは、エンジンによっては無い場合もあります。

フライホイールはグロー・プラグを全て外した後、ファン・ベルトがかかっているクランク・プーリを回す事で回せます。

第1シリンダが圧縮上死点にある時に調整できるバルブは以下のとおりです。

尚、シリンダの順番は、タイミング・ギヤやクランク・プーリのある側から第1、第2、第3となります。

3気筒エンジン(着火順序1→2→3)
第1シリンダ(吸、排)、第2シリンダ(排)、第3シリンダ(吸)

4気筒エンジン(着火順序1→3→4→2)
第1シリンダ(吸、排)、第2シリンダ(吸)、第3シリンダ(排)

調整はエンジンが冷えている状態で行います。

調整方法は、ロック・ナットを緩めマイナス・ドライバで調整ネジを回し、左写真のようにシックネス・ゲージを入れて隙間を調整し、ロック・ナットを締めて調整ネジを固定するだけです。

調整の際シックネス・ゲージは、引き抜くのに少し抵抗があるくらいにします。
例えばクリアランスを1.6㎜にしたい時に、1.6㎜のゲージが簡単に出し入れ出来るようでは、隙間はそれ以上になってしまうということです。

ちなみに左写真で調整に使用しているゲージは、0.08㎜、0.06㎜、0.03㎜の3枚を重ねて0.17㎜です。
理由は、0.1㎜以上のゲージの表示が全て消えてしまったからです(笑)。

フライホイールをもう1回転させて合わせマークを合わせると、第1シリンダはオーバ・ラップの位置になります。

第1シリンダがオーバ・ラップの時に調整できるバルブは以下のとおりです。

3気筒エンジン(着火順序1→2→3)
第2シリンダ(吸)、第3シリンダ(排)

4気筒エンジン(着火順序1→3→4→2)
第2シリンダ(排)、第3シリンダ(吸)、第4シリンダ(吸、排)

このようにフライホイールを2回転するだけで、全シリンダのバルブ・クリアランス調整が出来るということです。

当たり前ですが、更にもう1回転させて合わせマークを合わせると、第1シリンダは再び圧縮上死点になります。


◎コンロッド小端部のブッシュを交換する

ピストンとコンロッドの連結部で、ピストン・ピンが取り付くコンロッド小端部のブッシュを交換します。

叩いて取り外し、叩いて取り付けるということはしません。

万力を使ってブッシュ交換をします。

ブッシュよりやや外径の小さいパイプを使い、万力でプレスしてブッシュを取り外します。

そしてブッシュを抜くため、左写真のようにコンロッド小端部と同径くらいのソケットを使い、そのソケットの中にブッシュが逃げるようにします。

都合よく外径の合うパイプが無かったので、ソケットを使っているだけです。

ブッシュの外径より、やや大きいソケットを使えばいいのです。

ブッシュを抜け易くするため、エンジン・オイル又は潤滑剤を垂らします。

じわりじわりと万力を締めてブッシュを押し出していきます。

ブッシュが外れました。

ブッシュに開いている小さな穴はコンロッド側にもあり、エンジン・オイルの潤滑路になります。

したがって新品のブッシュは、この穴同士を合わせて取り付けなければいけません。

新品ブッシュの取り付けは、外したブッシュを当て物パイプとして使います。

左写真のようにコンロッドに傷がつかないよう当て物をして、外したブッシュを新品ブッシュに真っ直ぐあてがって、じわりじわりと万力を締めて押し込んでいきます。

もちろん押し込み前に、新品ブッシュ全体にエンジン・オイルをたっぷり塗布します。

左写真のように殆ど傷を付けず、また変形させることもなくブッシュを取り付けることが出来ました。

仮に叩いて入れていたら、このようにきれいに取り付ける事は出来ません。

ブッシュは軟らかい材質なので、簡単に変形してしまいます。



作成日:2014/9