ディーゼル・エンジンのエア抜き

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ディーゼル・エンジンの燃料系修理で、最後に必ずと言っていいほど必要になるのが、燃料経路に入った空気(エア)を抜く作業です。

ディーゼル・エンジンは燃料経路にエアが入ったままでは始動しません。

仮に始動しても、スムーズに吹け上がらず調子が悪いままか、すぐに停止してしまいます。

現在は殆どの機械の搭載エンジンは、自動又は半自動でエアが抜けるようになっています。

その方法は、キー・スイッチONにして電気式の燃料ポンプを数秒~数十秒程作動させれば、自動でエアが抜けるようになっていたり、エア抜き用のバルブ(つまみネジやプッシュ・ボタンなど)を開いた上でエンジン始動して、数十秒経過後にバルブを閉じるなど方法はいろいろあり、エンジンによって若干違います。


ここではコマツ油圧ショベルPC20_6を例に、よくある症状を交えて説明します。

タイプとしては半自動!?(手動に近い)だと思います。


年数の経過した古い油圧ショベルですが、その燃料経路の基本は、このページを作成したH22年の現在でも同じだと思います。

トラクターやコンバインなどに搭載されているディーゼル・エンジンのエア抜き手順と殆ど同じです。


エンジンによる燃料経路の違いは、主に燃料フィルタの数、燃料ポンプの種類(電気式、機械式)、インジェクション・ポンプ燃料吸入口のエア抜きバルブの種類(つまみネジ、プッシュ・ボタン、ボルトなど)、戻りパイプの経路くらいのものです。

また、燃料経路は、燃料タンク→燃料フィルタ→燃料ポンプ→インジェクション・ポンプの基本的な順番はどのエンジンも同じです。

そして、エア抜きは必ず燃料タンクに近いところから行うので、ストレーナ→インジェクション・ポンプの順になります。


エンジンのどこかから燃料が漏れているようです。

経験からして、燃料ホースか燃料コックのどちらかから漏れることが殆どです。

まず、高圧洗浄機できれいに洗います。その後、コンプレッサでエア吹きします。

エンジンを始動して見てみると、どうやらインジェクション・ポンプの燃料吸入口に接続されている燃料ホースが破れているみたいです。

ホース・バンドの固定ネジを緩めて、ホース・バンドをずらします。

その後、インジェクション・ポンプ―燃料コック間の燃料ホースを取り外します。

取り外した燃料ホース(ブラック・ホース・メッシュ)と保護材のコルゲート・チューブです。

燃料ホースは、ホース自体にメッシュ状の保護材がついていますが、更にコルゲート・チューブで保護しています。

同品の燃料ホースを取り付け、取り外したコルゲート・チューブを被せます。

個人的には、耐油ピンク・ホースで間に合うと思います。

また、直接エンジンに触れない(高温にさらされない)ので、コルゲート・チューブは無くても特に問題ないと思います。

次いで、燃料コック内に溜まった汚れを取ります。

まずは、1番目(左)のストレーナ・カップを固定している固定金具を取り外ます。

ウォータ・ポンプ・プライヤで摘まんで回すか、マイナス・ドライバの先端を固定金具の突起部に当てて、ハンマで叩いて緩めるなどします。

固定ネジは正ネジです。



ストレーナ・カップの中は、見ての通り随分汚れています。

ちなみに、ストレーナ・カップを取り外す前に燃料コックの開閉レバーを閉じるのが普通ですが、燃料タンク内の燃料が少なかったため、「開」のままでも燃料は出てきません。

燃料コックを下から覗いた写真です。

燃料が出てこないのは、燃料タンク内の油面より、この燃料コックのほうが高い位置にあるからです。

燃料フィルタ(ストレーナ)を取り外します。

このフィルタがあるので、ゴミの混入を防ぐことができるのです。

ストレーナ、ストレーナ・カップをきれいに掃除します。

灯油に浸けて歯ブラシでなど磨きます。

最後はコンプレッサでエア吹きしてきれいにします。

Oリングは潰れていたので交換しておきます。

42㎜だったと思いますが、40㎜くらいでも伸ばせば取り付き漏れはしない!?と思います。

先に燃料フィルタを燃料コックにはめ込んでおきます。

そして、ストレーナ・カップはこのようにして取り付けます。

ピンク色の輪は、水が混入すると浮く仕組みになっています。

つまり、水が混入していたらストレーナ・カップを見れば分かるということです。

2番目の燃料コックも、前項同様にストレーナ・カップを取り外してきれいにします。

ここからはエア抜き手順です。

キー・スイッチをONにして燃料ポンプを作動させます。

そして、2番目の燃料コックの上にあるプッシュ・ボタン(エア抜き用バルブ)を押したままにして待ちます。

電気式の燃料ポンプです。

燃料経路は、燃料タンク→1番目の燃料コック→燃料ポンプ→2番目の燃料コック→インジェクション・ポンプという順です。

エア抜きの基本は、燃料タンクに近いところから順番に行うことです。

1番目(左)の燃料コックのストレーナ・カップに燃料が落ち始めます。

この燃料コックには独自にエア抜きボルトが2つありますが、電気式燃料ポンプの吸引力でエアを抜くため触る必要はありません。

詳しくは、最後の項を見てください。

また、ほぼ同時に2番目(右)の燃料コックのストレーナ・カップにも燃料が落ち始めます。

エア抜きパイプから燃料が途切れず出だしたら、プッシュ・ボタンを離します。

この時点で、2番目の燃料コックまでのエアが抜けたことになります。

最後に、インジェクション・ポンプの燃料吸入口にあるプッシュ・ボタン(エア抜き用バルブ)を押し続けます。

エア抜きパイプから、燃料が途切れず出だしたらプッシュ・ボタンを離します。

写真では、ピンク・ホースが取り付いているところがエア抜きパイプです。

キー・スイッチONで燃料ポンプを作動させてから、全てのエア抜きが完了するまでの所要時間は、このエンジンで7~10秒くらいですです。

交換部品は、ストレーナ・カップのOリング2つと燃料ホース1本です。


1番目(左)の燃料コックは、燃料タンク内の燃料が満タン、若しくはそれに近い状態であれば、左写真のようにエア抜きボルトを緩めて、電磁ポンプを作動させずにエアを抜くことができます。


エアが抜けたら締めます。

次に右側(出口)のエア抜きボルトを緩めてエアを抜きます。



作成日:2011/1