農業機械に使われる電装品の回路図とその作動

農業機械の簡単メンテナンスTOPへ戻る



下記回路図例におけるバッテリとIGスイッチ(キー・シリンダ)間は、フュージブル・リンク、セル・モータB端子を経由するが、これを省略。


ヘッド・ランプの回路図


ヘッド・ランプの回路
農業機械に使われるヘッド・ランプは、すれ違いビーム(下方照射)とハイ・ビーム(遠方照射)のみの切替で、パッシング機能がないものが多い。

ヘッド・ランプに使用される電球(ランプ・バルブ)は、1つのバルブ内にすれ違いビーム用とハイ・ビーム用でフィラメントを2つ設け、フィラメントの発光を反射鏡に反射させて照らしている。
現在、ランプ・バルブの種類はハロゲンからHID、LEDまで数多くある。



ヘッド・ランプの作動…左図例

ヘッド・ランプ・スイッチからは、LOWとHIそれぞれ並列接続で左右のランプへ配線されている。
すれ違いビーム
ヘッド・ランプ・スイッチをLOW位置にすると、バッテリからの電流がそのままランプ・バルブ内の通常走行ビーム用フィラメントに流れ発光する。
ハイ・ビーム
ヘッド・ランプ・スイッチをHI位置にすると、バッテリからの電流がそのままランプ・バルブ内のハイ・ビーム用フィラメントに流れ発光する。


方向指示器の回路図例

方向指示器の回路




コンデンサ式フラッシャは、電流型(左図例)と電圧型がある。農業機械には、主に電流型が使われる。

電流型
使用ランプは規定のワット数のものを使用する。規定外のものを付けた場合は、点滅回数が変わるので、ランプ切れなどの故障がすぐに分かる。
電圧型
使用ランプのワット数が変わっても点滅回数が余り変化しない。



コンデンサ式フラッシャ電流型の作動…左図例

  1. IGスイッチを入れると、バッテリからの電流は、フラッシャ・ユニット内の作動接点を通り、L2コイルを経てコンデンサに充電され、いつでも方向指示器を作動できる状態になる。
  2. ターン・シグナル・スイッチを左右どちらかに入れると、バッテリからの電流が作動接点を通り、L1コイルを経て電球へ流れ点灯する。
  3. この結果、L1コイルには規定の電流が流れる。この時リレーの原理で、L1コイルに隣接された作動接点が開くので電球は消灯する。
  4. 作動接点が開くとコンデンサの放電が始まり、L1、L2コイルに流れるので、放電電流が無くなるまで両コイルの磁力によって作動接点は開いている。この時、僅かだがコンデンサの放電電流とバッテリから抵抗を通り電流が流れるが、とても少ないので電球は点灯しない。
  5. コンデンサの放電が終わると作動接点が再び閉じ、電球、コンデンサに電流が流れる。この場合、L2コイルに流れる電流方向はL1コイルに流れる電流方向とは逆になり、両コイルの磁力は相殺され作動接点は開かなくなる。この状態はコンデンサの充電が終わるまで続き、以後3、4、5を一定の点滅周期で繰り返す。
電流型フラッシャ・ユニットの回路


ホーンの回路図例

ホーンの回路




ホーンには、エア式と電気式があり、電気式は渦巻型と平型に分かれる。
農業機械は、主に電気式平型ホーンが使われ、電磁石により金属製のダイヤフラムを振動させ音を出す仕組みになっている。
自動車は、低音用と高音用のホーンを同時に鳴らして音質を良くするもの多いが、農業機械では一般にホーンは一つ設けているだけである。



ホーンの作動…左図例

ホーンには、リレーを使って鳴らすものがあるが、農業機械ではホーンは一つで小型なため、少ない電流で済むので直接ホーン・スイッチでOn/Offする。

ホーン・ボタンを押すと、バッテリからの電流がホーンに流れるので、ホーン内のダイヤフラムが振動して音を発生する。

ホーンの配線は、1本線と2本線のものとがあるが、1本線のものは、+線側(その1本線)にホーン・スイッチを設け、ホーンから車両ボディへアースさせる仕組みになっている。


燃料ゲージの回路図例

燃料ゲージの回路



燃料ゲージは、燃料タンク内の燃料の量を示すもので、レシーバ・ユニット部(受信、指示部)と、センダ・ユニット部(検出、送信部)に分かれて構成されている。
レシーバ・ユニット部とセンダ・ユニット部は、主に次のように分かれる。
レシーバ・ユニット部
コイル式、交差コイル式、バイメタル式
センダ・ユニット部(センサ)
抵抗式、バイメタル式



コイル-抵抗式の作動…上図例

レシーバ・ユニットは、L1とL2コイルの巻かれた2個の鉄心が直角に配置され、その2個の鉄心の合成磁力が働く位置に指針の付いた可動鉄片が動く。
センダ・ユニットは、燃料の液面に浮いているフロートが上下することにより、連動されたコンタクト・アームが動くので抵抗値が変化する。所謂、可変抵抗器である。
燃料が少ない場合
燃料の液面が下がるので、フロートも同じように下がる。その時、センダ・ユニットのコンタクト・アームが可変抵抗値の大きい方にくるので、レシーバ・ユニットのL2コイルからL1コイルへ掛かる電圧が大きくなり、指針の付いた可動鉄片はL1コイルの作る磁界の方向に回転するので、指針はEの方を指す。
燃料が多い場合
燃料の液面が上がるので、フロートも同じように上がる。その時、センダ・ユニットのコンタクト・アームが可変抵抗値の小さい方にくるので、レシーバ・ユニットのL1コイルよりL2コイルへ掛かる電圧が大きくなり、指針の付いた可動鉄片はL2コイルの作る磁界の方向に回転するので、指針はFの方を指す。


燃料残量警告の回路図例

燃料残量警告の回路


燃料残量警告は、一般に感知センサとしてサーミスタを使用している。この方式は、悪路などで燃料の液面が振動しても動作遅れが大きいので誤作動がない。



燃料残量警告の作動…左図例

サーミスタとは、温度変化により抵抗値が変化する半導体抵抗素子。
燃料が規定内の場合
燃料が規定内では、サーミスタは燃料に浸っていて放熱が良いので、抵抗値は高いままでインジゲータ・ランプは点灯しない。
燃料が規定より少ない場合(ガス欠手前)
燃料が規定より少ないと、サーミスタは空気中に出て放熱が悪くなるので、自己加熱によって抵抗値が低くなりインジゲータ・ランプは点灯する。



水温計の回路図例

水温計の回路










水温計は、エンジン冷却水の温度を表示するもので、レシーバ・ユニット部(受信、指示部)、センダ・ユニット部(検出、送信部)に分かれて構成されている。
レシーバ・ユニット部とセンダ・ユニット部は、主に次のように分かれる。
レシーバ・ユニット部
バイメタル式、交差コイル式、コイル式
センダ・ユニット部(センサ)
バイメタル式、抵抗式(サーミスタ)



コイル―抵抗式の作動…左図例

レシーバ・ユニットは、L1とL2コイルの巻かれた2個の鉄心が直角に配置され、その2個の鉄心の合成磁力が働く位置に指針の付いた可動鉄片が動く。
サーミスタとは、温度変化により抵抗値が変化する半導体抵抗素子。
冷却水の温度が低い場合
エンジン始動直後の水温が低いときは、サーミスタの抵抗値が大きいので、レシーバ・ユニットのL1コイルへ掛かる電圧が大きくなり、指針の付いた可動鉄片はL1コイルの作る磁界の方向へ回転するので、指針はCの方を指す。
冷却水の温度が高い場合
エンジン始動後水温が高くなると、サーミスタの抵抗値が小さくなり、レシーバ・ユニットのL1コイルよりL2コイルへ掛かる電圧が大きくなるので、指針の付いた可動鉄片はL2コイルの作る磁界へ回転し、指針はHの方に向かう。


回転計の回路図例

回転計の回路






回転計(エンジン・タコメータなど)は、磁石回転式、発電機式、パルス式などがある。

農業機械では、磁石回転式または発電機式がよく使われる。
また、表示パネルにはアナログ・メータとデジタル・メータがあり、回転計、速度計などに使われる方式は主に次のように分かれる。
アナログ・メータ
磁石回転式、発電機式、電気式(IC制御)、パルス式(IC制御)
デジタル・メータ
電気式(IC制御)、パルス式(IC制御)

電気式の回転検知は、フレキシブル・ワイヤ、または回転センサのどちらかの方式が使われるが、フレキシブル・ワイヤの場合は、表示パネル裏でパルス信号に置き換えられる。

パルス式は自動車のガソリン・エンジン専用で、フレキシブル・ワイヤや回転センサを必要とせず、エンジンの回転速度をディストリビュータから信号を得ている。。



磁石回転式の作動

エンジンの回転は、エンジン内の回転するドリブン・ギヤフレキシルブル・ワイヤ(回転ワイヤ)を介して、表示パネル裏の回転軸付きマグネットを回転させ、ロータに車速に応じた回転力を発生させる。
ロータのトルクはマグネットの回転速度であるので、エンジン回転に比例して増加し、ヘア・スプリングで制御してその動きを指針に伝える。
発電機式の作動…上図例

発電機式は、タコメータ部とジェネレータ部から構成されている。
タコメータ部は、可動コイル型の電圧部とダイオードでの整流回路で構成されていて、ジェネレータ部は、所謂、交流発電機である。

エンジンの回転は、エンジン内の回転するドリブン・ギヤがフレキシルブル・ワイヤ(回転ワイヤ)を介して、ジェネレータ部のマグネットであるロータを回転させるので、ステータ・コイルには、ロータの回転速度に比例した電圧が発生する。
発生した交流電圧は、4個のダイオードで全波整流(直流電圧に変換)されて、可動コイル型のメータ部に電圧が掛かり指針が振れる。
指針の振れは、ジェネレータの発生電圧が高くなる程振れ、その発生電圧はエンジンの回転速度に比例して高くなることから、目盛を回転数で表示することによりエンジン回転数が分かる。


油圧計の回路図例

油圧計の回路
油圧計は、主にエンジンなどの潤滑油の油圧を知らせるもので、レシーバ・ユニット部(受信、指示部)と、センダ・ユニット部(検出、送信部)に分かれて構成されている。
レシーバ・ユニット部とセンダ・ユニット部は、主に次のように分かれる。
レシーバ・ユニット部
バイメタル式、交差コイル式、コイル式
センダ・ユニット部(センサ)
抵抗式、バイメタル式



バイメタル-バイメタル式の作動…左図例

エンジン始動前は、センダ・ユニットの作動接点は開いた状態である。
油圧が低い場合
エンジン始動後の油圧が低いときは、ダイヤフラムに掛かる油圧は低く、作動接点は軽く接触する程度である。この状態で、レシーバ・ユニットとセンダ・ユニットのヒート・ワイヤに電流が流れる。しかし、作動接点の接触圧力が小さく、僅かの通電時間でもヒート・ワイヤに熱が発生するので、バイメタルが湾曲し作動接点が開く。このように、センダ・ユニットの作動接点が極めて短時間の電流で開くので、レシーバ・ユニットのバイメタル温度も上昇せず、僅かしか湾曲しないため指針の振れも小さい。
油圧が高い場合
エンジン高回転時など油圧が高いときは、ダイヤフラムに掛かる油圧が高く、作動接点は強く押し上げられながら接触している。この状態で、油圧が低い場合と同様にセンダ・ユニットのバイメタルが湾曲するが、作動接点が強く押されているだけ長時間の通電になり、バイメタルの湾曲も大きくなるので、作動接点はすぐには開かない。そして、レシーバ・ユニットのバイメタルは、センダ・ユニットのバイメタルと同じように熱を持ち湾曲するので指針が振れる。
センダ・ユニットでは、このようにある時間電流が流れ、バイメタルの温度が上がり、湾曲が大きくなると作動接点は開き、バイメタルが冷えれば再び作動接点は閉じるという動作を繰り返してる。

※バイメタルとは、熱膨張係数の大きく異なる2種類の金属板を張り合わせたもので、一端を固定して熱を加えると他端が湾曲する。
バイメタル式センダ・ユニット



TOPへ

作成日:2008/3