| 潤滑油 | 農業機械の簡単メンテナンスTOPへ戻る |
潤滑油は、機械を円滑に運転するために様々な役割があり、絶対に必要なものでエンジン・オイル、ギヤ・オイル、作動油などがある。また、農業機械では、ギヤ・オイルはトランスミッションなどの動力伝達用の他、油圧装置の圧力伝達用としても使われる。 動力伝達用としては、潤滑油のギヤ・オイル、半固体潤滑剤のグリースなどが使われる。 過去の記載→第6回:トラクターのオイル交換について 第13回:田植機のオイル交換について 潤滑油の働きは以下の作用がある。
これらの作用を運転中に行っているので、オイル自体も汚染、酸化、腐食し性能が低下するので定められた時間で必ず交換する。 粘度について 潤滑油には多くの必要な性状があるが、粘度はもっとも重要な性状である。粘度の高いオイルは金属の表面に作る油膜が厚く、大きな荷重を支える力がある。しかし、その反面潤滑油の内部摩擦が大きいので動力損失も多い。反対に粘度が低いと内部摩擦は小さいので動力損失は少ないが、金属の表面に作る油膜は薄いので減摩作用が不十分になる。 |
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エンジン・オイルの分類法は粘度による分類と性能、用途による分類の2種類がある。 粘度はSAE(米国自動車技術協会)規格で、性能、用途はAPI(米国石油協会)サービス分類が使われる。 下記の表でWの付いているオイルは特に寒冷地用で、10W-30などの表示があるマルチ・グレード・オイルは特に粘度指数が大きく、全季節に対応している。 農業機械に使われるエンジン・オイルは、10W-30でガソリン・エンジンならSD以上、ディーゼル・エンジンではCD以上が望ましい。 エンジン・オイルのSAE粘度分類 |
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| SAE 5W | 寒冷地様 |
| SAE 10W | |
| SAE 20W | 冬季用 |
| SAE 20 | |
| SAE 30 | 一般用 |
| SAE 40 | 夏季用 |
エンジン・オイル用のAPIサービス分類 |
| APIサービス分類 | 使用条件 |
| SA | 無添加純鉱油。無負荷で油温も余り上がらない条件下で運転されるエンジンに使用する。 |
| SB | 添加油。中程度の条件下で運転されるエンジンでスカッフィングの防止性、油の酸化安定性、ベアリングの腐食防止性を要求される場合に使用する。 |
| SC | 乗用車、トラックでブローバイ・ガス還元装置を取り付けていないガソリン・エンジンに使用する。高温および低温沈殿物防止性、磨耗防止性、錆止め性、腐食防止性を備えている。 |
| SD | ブローバイ・ガス還元装置を取り付けた乗用車、トラックのガソリン・エンジンに使用する。性能はSC以上であることが要求され、SCクラスの用途にも使用可能である。 |
| SE | 酸化、高温沈殿物、錆、腐食などの防止に対して、SDよりも更に高い性能を備えている。 |
| SF | 酸化安定性、耐磨耗性の向上を図り、特にバルブ機構の磨耗防止を主眼としたもので、SEより高い性能を備えている。 |
| SG | SFクラスより更に苛酷な使用条件に耐えられるように、耐磨耗性、耐スラッジ性を高めたもので、テスト方法もSFクラスよりも苛酷になっている。 |
| SH | SG性能に加え、オイルの消費防止性、せん断安定性、消泡性等が向上している。ターボ・チャージャ、スーパ・チャージャ装着車に使用できる。 |
| SJ | SH性能に加え、低温時のエンジン始動性、オイルの消泡性、省燃費性などが向上している。 |
| SL | 2001年以降のガソリン車に適用。SJ性能に加え、高温時のデポジット防止性、オイルの耐久性・清浄性・酸化安定性などが向上している。厳しいオイル揮発試験に合格した環境対策規格。 |
| SM | SL性能より、オイルの耐久性、省燃費性、有害な排気ガスの低減などを向上させた環境対応規格。 |
ディーゼル・エンジン用のAPIサービス分類 |
| APIサービス分類 | 使用条件 |
| CA | イオウ分の少ない良質燃料を使用する軽負荷のディーゼル・エンジンに使用される。腐食防止剤、清浄分散剤が添加されたもので、軽負荷のガソリン・エンジンにも使用できる。 |
| CB | 比較的イオウ分の多い燃料を使用する軽~中負荷のディーゼル・エンジンに使用される。腐食防止剤、清浄分散剤が添加されたもので、軽~中負荷のガソリン・エンジンにも使用される。 |
| CC | 過酷な運転条件下の過給機付きディーゼル・エンジンに使用される。腐食防止剤、防錆剤、清浄分散剤が添加されたもので、過酷な運転条件下のガソリン・エンジンにも使用される。 |
| CD | 過給機付きで、高速、高出力で運転されるディーゼル・エンジンに使用される。多量の腐食防止剤、清浄分散剤が添加されたものである。 |
| CE | 1983年以降製造のディーゼル・エンジンに対応。CD性能に加え、デポジット防止性、オイル消費防止性、清浄分散性などが向上。スーパ・チャージャ、ターボ・チャージャ装着車にも使用できる。 |
| CF | 建設機械および農業機械などのディーゼルエンジン用に開発された油で、CD性能をより向上したものである。 |
| CF-4 | 1990年代の低硫黄(0.5%以下)の軽油を使用する大型トラックなど最も過酷な条件で運転されるディーゼルエンジン用である。CE性能よりデポジット防止性、清浄分散性、熱安定性、オイル消費防止性を向上したものである。 |
ギヤ・オイルの分類法もエンジン・オイル同様に、粘度による分類と性能、用途による分類の2種類がある。 粘度はSAE(米国自動車技術協会)規格で、性能、用途はAPI(米国石油協会)サービス分類が使われる。 SAEでは7種類の粘度番号があり、80W、90が最も一般的だが、現在は75W-85W、75W-90、80W-90などのマルチ・グレードがよく使われる。 APIでは6種類の分類があり、特にギヤの種類による潤滑条件を考慮して、ギヤ・オイルに要求される極圧性に重点を置いて分類されているが、石油留分だけではこれらのオイルが要求する耐荷重性能を引き出す事ができないので、極圧剤が多量に使われている。 農業機械で使われるギヤ・オイルはGL-3以上で、90のシングル・グレード、または80W-90のマルチ・グレードが望ましい。 |
| SAE J 306、アクスルまたはマニュアル・トランスミッション・オイル粘度分類 |
| SAE J 306 粘度グレード |
粘度15.000cP を示す最高温度 (℃) |
100℃における粘度 | |
| 最低 (cSt) {mm2/S} |
最高 (cSt) {mm2/S} |
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| 70W | -55 | 4.1 | - |
| 75W | -40 | 4.1 | - |
| 80W | -28 | 7.0 | - |
| 85W | -12 | 11.0 | - |
| 90 | - | 13.5 | <24.0 |
| 140 | - | 24.0 | <41.0 |
| (250) | - | 41.0 | - |
ギヤ・オイルのAPIサービス分類 |
| APIサービス分類 | 性能、用途分類 |
| GL-1 | 直留鉱油で十分使用できるような低荷重、低速度運転する自動車用ディファレンシャル・ギヤおよびマニュアル・トランスミッションで使用できる。 |
| GL-2 | 荷重、温度および滑り速度がGL-1では過酷な条件で運転する自動車用ディファレンシャル・ギヤで使用できる。 |
| GL-3 | 中程度の速度、荷重条件で運転するマニュアル・トランスミッションおよびディファレンシャル・ギヤで使用できる。GL-1とGL-4の中間。 |
| GL-4 | 高速低トルクおよび低速高トルク条件で運転する乗用車、その他の自動車用ギヤ、特にハイポイド・ギヤ用。 |
| GL-5 | 高速衝撃荷重、高速低トルクおよび低速高トルク条件で運転する乗用車、その他の自動車用ギヤ、特にハイポイド・ギヤ用。 |
| GL-6 | 高速高性能条件で運転する乗用車、その他の自動車用ギヤ、特にオフセットの大きいハイポイド・ギヤ用。(2インチ以上のオフセットを有し、しかもそのオフセット量がリング・ギヤの直径の25%に達するもの) |
油圧を使って作動する機械の圧力伝達用として用いられる液体(フルード)を作動油と呼ぶ。 自動車で言うなら、オートマチック・トランスミッション、パワー・ステアリング、油圧式ブレーキ、ショック・アブソーバなどに使われるが、農業機械では主にギヤ・オイル兼作動油で、湿式ブレーキ、湿式クラッチ、パワー・ステアリングなどの装置も含め、3点リンクなどの油圧装置を働かせている。 また、ノー・クラッチ変速が可能で変速段があるものはパワー・シフトで、 ノー・クラッチ変速が可能で変速段がないものはHSTだが、後者のHST装置が付いたものは専用の作動油を使う。 例をあげると、中~大型コンバインなどでよく使われるミッションとは別に作動油タンクを設け、そこから油圧モータへ作動油を供給するものである。 農業機械では、作動油はVG32、46、68などが使われる。 VG(粘度等級)とはISO(国際標準化機構)が定める工業規格であり、作動油の粘度は主にこのVG~で表されることが多い。 |
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