板金と溶接

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ここでは、事故で変形したトラクターのエンジン・フレームの修復について、実際に私が行った方法で説明します。

他に方法があるかも分かりませんが、限られた道具を使って行う個人の修理なのでこんな感じになります。


※「機械の写真集」や「過去の記載」内でも、時折溶接例を記載しています。


イセキ・トラクタTA317のエンジン・フレーム前部全体が大きく右に曲がっています。

バンパ、フロント・マスク、サイド・カバーを取り外します。

フロント・マスクは大きく破損していたので交換です。

バッテリ、バッテリ台、パワステのオイル・タンクなどを取り外します。

パワステのオイル・タンクは紐などで上に吊っておきます。


※エンジン・フレームの修復が主なので、前後の作業記載は省略しています。

最初に左の側面鋼を修復しますが、厚さが12㎜もあり、そう簡単に曲げることは出来ません。

パワステのユニットは破損するといけないので、固定しているボルトを取り外しておきます。

前面鋼を、角の部分で切り落とします。

側面鋼は、挟まないと曲げることが出来ないためです。

前面鋼は酸素アセチレン溶接で切断しますが、前面鋼と側面鋼の切断面を、ディスク・グラインダの研磨刃できれいに研磨しておきます。

側面鋼を酸素アセチレン溶接で熱して曲げるので、パワステのユニットに熱が伝わらないように、適当な鉄板をユニットと側面鋼の間に入れます。

パワステのユニットは、なるべく鉄板に触れないように少しでも離しておきます。

濡れ雑巾を何枚か当てておくのもいいかと思います。

シャコ万力を2つ使って、1mくらいのCチャンネル鋼を側面鋼に挟みます。

所謂、てこの原理です。

長ければ長い程、楽に曲げることが出来ます。

曲げる部分より10㎜くらい離した位置で、Cチャンネル鋼を挟みましたが大体で構いません。

ここではCチャンネル鋼を使いましたが、角パイプでもアングルでも構いません。

側面鋼が真っ赤になるまで、全開の強火で熱し続けます。

奥から順番に熱して、じわりじわりと少しづつ曲げていきます。

先走って無理に曲げないように慎重に行います。

奥から順番に順番にゆっくり曲げていくことです。

直尺をあてがい、ある程度真っ直ぐになっているか確認します。

次は、右の側面鋼を同様のやり方で修復します。

パワステ・ホース類に気を付けます。

パワステのユニットを角材を入れて少し持ち上げると、ホースも少し上がります。

左右の両側面が平行であるか確認します。

左右の側面鋼間の長さが、奥と手前で同じくらいか測定します。

切り落とした前面鋼です。

前面鋼は厚さが9㎜なので、火は使わず大ハンマで叩いて修復します。

切断面の内側を、ディスク・グラインダの研磨刃で少し研磨しておきます。

ひたすら大ハンマで叩きます。

甲高い衝撃音が地面に響いて耳がおかしくなりそうです。

腕は筋肉痛間違いなしです。

このように平らになります。

50回以上、大ハンマを振り落としました。

上から見た写真です。



前面鋼をアーク溶接で仮付けします。

差し金を使って精度を出します。

アーク溶接でしっかり溶接します。

溶接熱を加え過ぎると鋼材が変形する恐れがあるので、同じところをいつまでも続けて溶接しないように注意します。

修復した側面鋼に、再びネジ穴(8㎜、ピッチ1.25㎜)を切り直します。

このネジ穴は、サイド・カバーの取り付け金具が取り付きます。

今度は、変形したバンパを修復します。

バンパを万力で固定して、エンジン・フレームの側面鋼と同じ方法で曲げていきます。

中央(前面)→ネジ取り付け部の順番で曲げていきます。

決して曲げ急がず、真っ赤になるまでじっくり熱してから、じわりじわりとと曲げていきます。

このように修復しました。

バンパは左右のネジ穴をエンジン・フレームに合わせる必要があるので、それなりの精度が必要です。

仮にネジ穴が多少ずれていても、ドリルで大穴に開け直せば問題なく取り付けできます。

エンジン・フレームとバンパは、塗装してから取り付けです。

パワステのユニットをボルトを締めて固定したら、バッテリ台(変形、修復済)なども順番に取り付けていきます。

修復跡は、よく見ないと分かりません。

パテ埋めはしないので、自動車板金ほどきれいにはなりませんが…。

写真ではサイド・カバーの取り付け金具が取り付いていませんが、単純に忘れていました。
以後、取り付けました。

カバーを取り付け作業終了です。

上面カバーとサイド・カバーを少し板金しましたが、全体としてある程度復元できたと思います。



作成日:2011/4