今回は、クボタ・コンバインSR35のオイル交換について記載します。
まだまだ現役で使われている機械なので、しっかりオイル交換して、少しでも長く使いましょう。
作動油タンク付きコンバイン(中型以上)のオイル交換について、共通する主要な3ヵ所を中心に説明します。
本機:クランク・ケース(エンジン)8.5ℓ/エンジン・オイル・フィルタ/ミッション・ケース10ℓ/油圧オイル22ℓ/油圧オイル・フィルタ/HSTオイル・フィルタ
必要工具と道具: 12、14㎜ボックス・レンチまたはメガネ・レンチ、延長ソケット、17㎜ボックス・レンチ、エレメントはずし、ウォータ・ポンプ・プライヤ(キャップを緩めるため)、オイル・ジョッキ、じょうご(注入口が細いため、作業し難いため)、低床廃油箱×1、大容量廃油箱×2(20ℓクラス)、ウエス、潤滑剤、段ボールの切れ端(縦横:200㎜×200㎜程度)
19㎜ボックス・レンチとメガネ・レンチ、モンキ・レンチ
ドレン・ボルトは、分かり易いように赤い色を塗りました。
通常は白い塗料が塗られています。
◎エンジン・オイルとエンジン・オイル・フィルタの交換…交換時期:オイル100時間毎、フィルタ200時間毎
オイル・キャップ(正ネジ)を取り外します。
シリンダ・ヘッド・カバーの上にあります。
オイル・フィルタ(正ネジ)を取り外します。
籾タンク側なので、籾タンクを開けます。
接合面をウエスできれに拭き取ります。
埃が入らないように注意しながら、潤滑剤で接合面を簡単に洗浄しておきます。
新品オイル・フィルタを取り付けます。
取り付け前は、オイル・フィルタのシール部に薄くエンジン・オイルを塗付しておきます。
オイル・フィルタは手で締め付けますが、シール部が接触してから3/4回転くらい回せば十分です。
注入口からエンジン・オイルを入れます。
オイルは検油棒のゲージの上限線の所まで入れます。
オイルを入れた後は、一度エンジンを始動し数分回して止め、4~5分待ってからもう一度検油棒を確認します。
足りない場合は上限線のところまで追加します。
◎ミッション・オイルの交換…交換時期:300時間毎
エンジンを始動して刈取部を最上げ位置、深さチェーンを最深位置(上方向)にしておきます。
また、機体を最上位置にするとやり易いと思います。
オイル・キャップ(正ネジ)を取り外します。
ちょうどミッション・ケースの真上にあります。
手で緩まない場合は、ウォータ・ポンプ・プライヤなどで摘まんで回すと簡単に緩みます。
注入口からエアが抜け、オイルは抜け易くなります。
前項の写真では、既に廃油箱にオイルが溜まって溢れそうですが…。
オイルが完全に抜けたら、パッキンを忘れすにドレン・ボルトを取り付けます。
検油口ボルト(頭部12㎜)を取り外します。
ミッション・ケース左側にあります。
12㎜ボックス・レンチと延長ソケットが必要です。
注入口からミッション・オイルを入れます。
検油口からオイルが溢れ出るまで入れますが、約10ℓ入ります。
溢れ出したら検油口ボルトを取り付けます。
次いでオイル・キャップも取り付けます。
オイルの注入は、刈取部と運転席前の間から行うのが一番やり易いと思います。
◎作動油(油圧オイル)の交換と油圧オイル・フィルタ、HSTオイル・フィルタの交換…交換時期:全て300時間毎
ミツション・オイルの交換を終えたら、作動油を抜きます。
ドレンボルト(頭部17㎜)は、作動油タンク下部にあります。
段ボールの切れ端などでオイルの抜き道を作らないと、地面やクローラがベタベタになります。
オイル・キャップ(正ネジ)を取り外します。
作動油タンクの上にあります。
手で緩まない場合は、ウォータ・ポンプ・プライヤなどで摘まんで回すと簡単に緩みます。
注入口からエアが抜け、オイルは抜け易くなります。
最初でも途中でもいいので、キー・スイッチONにして、刈り取り部を最下位置まで下げておきます。
油圧シリンダ内のオイルを少しでも抜くためですが、しかしながら、油圧ポンプやホース内のオイルは完全には抜けません。
これは仕方ありません。
オイル・キャップです。
ミッション・ケースのオイル・キャップと同じです。
HSTオイル・フィルタ(正ネジ)を取り外します。
エンジン・フードを開けて、ブレーキ・ペダルの横にあるカバーを開けば見えます。
接合面をウエスできれに拭き取ります。
埃が入らないように注意しながら、潤滑剤で接合面を簡単に洗浄しておきます。
その後、新品のHSTオイル・フィルタをエンジン・オイル・フィルタと同じ要領で取り付けます。
油圧フィルタ(正ネジ)も取り外します。
オイルが完全に抜けたら、パッキンを忘れすにドレン・ボルトを取り付けます。
そしてエンジン・オイル・フィルタと同じ要領で、新品の油圧オイル・フィルタを取り付けます。
HSTオイル吸入フィルタは、マニュアルでは300時間で洗浄、600時間で交換とありますが、ここでは行いませんでした。
行う場合は、 作動油タンクの全面にある頭部12㎜の固定ボルト3本を外して、吸入管を取り外します。
HST吸入フィルタは、この吸入口にあります。
HST吸入フィルタの洗浄は、灯油に浸けて歯ブラシで磨き、最後はやはりコンプレッサでエア吹きして行います。
取り付け時には、吸入管プレート部分のOリングを交換したほうが無難です。
交換しないと、ここからオイル漏れする可能性があります。
注入口から油圧オイルを入れます。
検油口ボルト(頭部12㎜)を取り外し、検油口からオイルが溢れ出るまで入れます。
溢れ出したら検油口ボルトを取り付けます。
次いでオイル・キャップも取り付けます。
エア抜きについてですが、オイル・ポンプのエア抜き用ボルトを外し、数秒間エンジン始動するといったエア抜き作業はありません。
しかし一応はエンジンを始動し、簡易的なエア抜きを行います。
エンジンを中回転くらいにして、刈取部を最上位置に数秒間し続けます。
次に手動SWで、機体を最上位置に数秒間し続けます。
最後に刈取部、機体を最下位置にしてエンジンを止めます。
その後、数十分経ってから検油口ボルト取り外して検油します。
検油口からオイルが出てこなければ、出てくるまでオイルを追加します。
交換したオイル・フィルタです。
左からエンジン・オイル・フィルタ、HSTオイル・フィルタ、油圧オイル・フィルタです。
これだけオイル交換を行うと、軍手をはめていても大抵はオイルで手が汚れます。
私は然程気にならないタイプの人間ですが、どうしてもオイルで汚れるのが嫌な人は、使い捨てのビニール手袋とか便利です。
◎フィード・チェーン・ギヤ・ケースのオイル交換…交換時期:分解整備時
フィード・チェーン後方にあります。
頭部12㎜の固定ボルトを外してカバーを取り外します。
プーリを外さないとドレン・ボルト(頭部14㎜)を外すことが出来ないので、分解整備する時がオイル交換のタイミングとなります。
オイルの注入口です。
通常の点検では、オイル・キャップを外し、針金などを差し込みギヤ・オイル(ミッション・オイル)が入っているか確認します。
適量は0.3ℓです。
◎トラック・ローラのオイル交換…交換時期:800時間毎(100時間毎点検)
ジャッキ・アップしてクローラを外します。
四角プラグ(正ネジ)を取り外します。
カバー付きのトラック・ローラ(最後部など)は、袋ナット(頭部19㎜)を外しカバーを取り外します。
四角プラグの取り外しは、モンキ・レンチで外せます。
指定では800時間(オーバ・ホール時)で交換となっていますが、ミッション・オイルの交換時に、次いでに交換しても良いかと思います。
排出口(注入口)を下に向ければオイルは抜けます。
完全に抜け切るまで時間がかかります。
ギヤ・オイルを注入するときは、注入口(排出口)を上に向けて入れます。
油注しを使ってギヤ・オイルを約0.1ℓ入れます。
ギヤ・オイルはミッション・ケースで使用したオイルで構いません。
四角プラグはPT(テーパ)ネジですが、水混入の可能性が多少あるので、シール・テープを巻いて取り付けます。
800時間毎にオーバ・ホール(フローティング・シール、ベアリング交換など)となっています。
しかしながら数が多く大変な作業なので、指定時間でがたつきがなければ、オーバ・ホールをせず、グリース式に変えてしまうのもありかと思います。
この場合、毎シーズン毎にグリース・アップします。
グリース・ガンを使って詰め込んだグリースが、オイル・シール(フローティング・シール)を内部から押し出す事になるので、ある意味自分でシールを壊すことになりますが…。