第11回:ロータリの耕運軸受ベアリング交換修理について
今回は、クボタロータリRS121SP(トラクターB72)の耕運軸受ベアリングの破損修理の手順を記載します。
次いでなので、チェーン・ケース側のオイル・シールとベアリングも交換しておきます。
第7回のオイル漏れ修理と基本的には同じ修理になりますが、今回は酸素アセチレン溶接と耕運軸を乗せる台車を使わず行いました。
※当然ですが、オイル・シールを外すのには、酸素アセチレン溶接でゴム部分を炙ってを燃やせば簡単に外せます。また、ベアリングを外す(壊す)のには、酸素アセチレン溶接で酸素切断すれば楽に外せます。
主に必要な工具、道具:10㎜、12㎜、14㎜、17㎜ボックス・レンチまたはメガネ・レンチ、シノ、穴用スナップ・リング・プライヤ(直型CH4A)、軸用スナップ・リング・プライヤ(直型CS3A)、スクレーパ、中ハンマ、小ハンマ(出来れば銅か樹脂)、叩き工具(マイナス・ドライバ、鏨)、丸パイプ(オイル・シール軸部打ち込み用)内径45㎜程度、液体ガスケット、
カップ・ブラシ・グラインダ、コンプレッサ(エア吹き掃除)、灯油少量(洗浄用)、ウエス数枚
◎始めの状態
ロータリのオート入切レバー(自動耕深装置)を「切り」位置にします。
均平板を出来るだけ上げて固定します。
エンジンを始動し、ポジション・レバーを上げてロータリを適当な高さに上げ、エンジンを停止させます。
また、左右のサイド・カバーを外しておくと作業し易いです。(頭部12㎜ボルト、ナット各2個)
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耕運軸を外します。
チェーン・ケース側は、耕運軸と継ぎ手が頭部17㎜のボルト4本で固定されているので、これを外します。2本だけ完全に外さず緩めたままにしてロータリを地面に軽く着くまで降下させます。
※PTO変速を1速などに入れておくと耕運軸の共回りを防げます。 |
反対のベアリング・ケース(右)側は、サイド・プレートにベアリング・ケースが頭部17㎜のボルト2本で固定されているので、これを外します。
その後、継ぎ手の残り2本のボルトを外します。 |
エンジンを始動し、ゆっくりポジション・レバーを上げます。
これで耕運軸だけが地面に残って外れます。
※サイド・プレートの固定ボルト(頭部12㎜2本、頭部14㎜6本)を緩めておくと外し易いです。 |
ベアリング・ケース(右)の修理に入ります。
プラグを外します。
プラグは、マイナス・ドライバ先端をプラグのツバの部分に食い込ませ、起こすことで簡単に外れます。きっかけはハンマで叩いて作ります。
どのロータリも、使い続ければいつかこのようになります。酷い状態です。 |
ベアリングの破損が酷く、ベアリング・ケース〔右)がそのまま落ちて外れました。
スナップ・リングを外してから、通常は、ケースにギヤ・プーラをかける、ケースをハンマで対角線上にずらしながら叩く、などして外します。 |
左写真のように、スナップ・リングを外します。
必要なら、スナップ・リングの穴を、何か尖ったもの(キリなど)できれいにします。
※軸用スナップリング・プライヤ(直型CS3A) が必要です。 |
ベアリングの内輪を外します。
左写真のように、鏨(たがね)を内輪に当ててハンマで叩いて外します。
叩き位置を変えながら、根気よく叩き続けると少しづつですが、抜けてきます。 |
シール・カラー(名称は憶測)を外します。
左写真のようにシール・カラーのツバ部分に、、マイナス・ドライバ先端をハンマを使って差し込み、ツバを順次起こしながら外します。
比較的、この部分は外し難い場合があるので、何度も起こす箇所を変えて、少しづつ根気よく行います。 |
左写真は、外した順に上から軸用スナップ・リング、ベアリング内輪、シール・カラー、ダスト・シール、耕運軸継ぎ手です。
ダスト・シールは泥よけの役目があります。
耕運軸継ぎ手のベアリング内輪とシール・カラーが密着する面をカップ・ブラシ・グラインダ でさらっと磨いておきます。
その後、灯油付けの歯ブラシできれいに掃除し、エアで吹き飛ばします。 |
左写真は、ベアリング・ケース(右)です。
ベアリングの玉は既に取れてしまっているので、外輪とオイル・シールだけが残っています。
プラグの取外しと同様の手順でオイル・シールを外します。 |
左写真のように、スナップ・リングを外します。
※穴用スナップリング・プライヤ(直型CH4A) が必要です。 |
ベアリングの外輪を外します。
左写真のように、鏨を外輪に当ててハンマで叩いて外します。叩き位置を変えながら、根気よく叩き続けると少しづつですが、抜けてきます。
※ベアリング・ケース〔右)の内面を、出来るだけ傷付けないように叩きます。
また、当て物として、外輪と同径くらいのパイプがあれば、鏨を使うより楽に外せます。 |
左写真は、外した順に上からオイル・シール、穴用スナップ・リング、ベアリング外輪、ベアリング・ケース(右)です。
ベアリング・ケースの内側は、紙ヤスリ(#400~1000)などでさらっと磨いておきます。その後、灯油付けの歯ブラシできれいに掃除し、エアで吹き飛ばします。
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耕運軸継ぎ手に、ダスト・シールとシール・カラーを取り付けます。
継ぎ手軸にダスト・シールを入れた後、エンジン・オイルを付着させシール・カラーを差し込みます。
シール・カラーを傷めない目的で、左上写真のようにビニール(厚め)の真ん中に穴を開けてシール・カラーの上に被せます。<
そして、その上からパイプ(内径45㎜程度)を当て、ハンマで軽く打ち込んで入れます。 |
叩き位置を対角線上にずらしながら、金属音〔叩き音)が甲高い音になるまで打ち込みます。
オイル・シールのリップに当たる面を傷つけないように注意して行います。
シール・カラーに付着したゴミは、ウエスできれいに拭き取っておきます。 |
ベアリング・ケース(右)に、ベアリング(6206LLB 、またはLLU )を取り付け、穴用スナップ・リングを取り付けます。
滑りを良くするため、ベアリング外輪にエンジン・オイルを塗付します。
ベアリングは、なるべく直接叩かず、小ハンマ (直径20㎜程度、銅)などを、外輪に当てた上から叩くようにします。
対角線上にずらしながら、金属音(叩き音)が甲高い音になるまで叩きます。
※写真のベアリングはLLBですが、基本的にオイル・シールが付いているので、開放型で問題ないと思います。 |
次に、オイル・シールをはめ込みます。
滑りを良くするため、オイル・シールの外周部にエンジン・オイルを塗付し、
ベアリングと同様の手順で、オイル・シールのツバを叩いて入れます。
※ベアリングは外輪に、オイル・シールはツバ部に、丸パイプを当てて、ハンマで叩いて入れる方法が望ましいですが、ハンマ2つで十分はめ込む事が出来ます。
丸パイプ外径は、ベアリングが60㎜程度、オイル・シールが75㎜程度のものでよいです。 |
耕運軸継ぎ手に、ベアリング・ケース(右)をはめ込み、軸用スナップ・リングを取り付けます。
オイル・シールのリップ面とシール・カラーにグリース をたっぷり塗付し、また、取り付けの際に滑りを良くするため、ベアリング内輪にエンジン・オイルを塗付します。
ベアリング・ケース全体を、角材(木)などを当てて、その上からハンマで叩いて入れます。
※内径32㎜程度の丸パイプを、ベアリングの内輪に当てて、ハンマで叩いて入れる方法がベアリングを傷めず望ましいですが、下処理をしっかりし、エンジン・オイルを塗付しているので、問題なくはめ込む事が出来ます。 |
プラグを取り付けます。
ハンマでプラグのツバを、対角線上にずらしながら叩いて入れます。 |
次は、チェーン・ケース側です。
オイルを抜きます。
プロテクタを外し(頭部14㎜1本)、ドレン・ボルトとプラグを外します。
プラグは、ベアリング・ケース(右)と同様の手順で外します。
プラグを外すと、継ぎ手に軸用スナップ・リングが2重に留めてあるのを確認できます。これを二つとも外します。 |
継ぎ手をハンマで叩いて外しますが、継ぎ手の軸頭を潰さないように、小ハンマなどを軸に当てがった上から叩きます。
継ぎ手を外すとベアリング・ケース(左)のオイル・シールを確認できます。
プラグ同様に、オイル・シールのツバとケースの当たり面に、、マイナス・ドライバ先端をハンマを使って差し込み、ツバを順次起こしながら外します。
※ベアリング・ケース(左)を外してから、オイル・シールを外してもよいです。 |
ベアリング・ケース(左)を外します。
頭部12㎜のフランジ・ボルトを6本外し後、左写真のように、チェーン・ケースとベアリング・ケース(左)の間に、マイナス・ドライバ先端をハンマを使って差し込み、少しづつ起こしながら外します。
※何度も起こす箇所を変えながら、根気よく行います。 |
取り外した継ぎ手から、シール・カラー(名称は憶測)を外します。
ベアリング・ケース(右)のシール・カラーと同様の手順で外します。 |
取り外したベアリング・ケース(左)から、ベアリングを外します。
ハンマで、オイル・シールが付く側から、ベアリング(開放型6306 )を軽く叩けば抜けてきます。
ケース接着面にこべり付いてる液体ガスケットを、きれいに除去します。
スクレーパ で大まかに削り取った後、カップ・ブラシ・グラインダ で磨くと楽に作業が進みます。 |
チェーン・ケース側の接着面に付着している液体ガスケットも、きれいに除去します。
ベアリング・ケース(左)と同様に、カップ・ブラシ・グラインダ で磨くと楽に作業が進みます。
※上写真のように、スクレーパ で大まかに削り取ってから、紙ヤスリで磨いてきれいにしてもよいです。 |
プラグ穴回りは、錆などで腐食気味なので、紙ヤスリで磨いてきれいにしておきま。
左写真のように、チェーン張りの蓋を外して、チェーンを出しておくとケース内の掃除がし易いです。
チェーン張りの蓋は、頭部10㎜のフランジ・ボルトを全て外し、ベアリング・ケース(左)と同様の手順で外せます。
また、付着している液体ガスケットは、カップ・ブラシ・グラインダ で磨いてきれいにしておきます。 |
ベアリング・ケース(左)に、ベアリング、オイル・シールを取り付けます。
いずれもエンジン・オイルを塗付しおくと楽に入ります。
ベアリングは外輪を、オイル・シールはツバの部分を、対角線上に順次ハンマで叩いて少しづつ入れます。なるべく、小ハンマ などの当てものをした上から叩きます。
ベアリング・ケース(左)の接着面に液体ガスケット を多めに塗付します。これをすぐにチェーン・ケースに取り付けます。頭部12㎜のフランジ・ボルトを、対角線上にずらしながら締め付け、確実に固定します。
この後、チェーン(スプロケット含む)をケースに落としておきます。 |
継ぎ手にシール・カラーを取り付けます。
ベアリング・ケース(右)の耕運軸継ぎ手と同様の手順で行い、パイプ(内径45㎜程度)を当て、その上をハンマで軽く叩きながら打ち込んでいきます。
金属音(叩き音)が甲高い音になるまで、叩き位置を対角線上にずらしながら打ち込みますが、シールのリップに当たる面を傷つけないように注意して行います。
シール・カラーに付着したゴミは、ウエスできれいに拭き取っておきます。 |
継ぎ手をチェーン・ケースにはめ込みます。
チェーン・ケース内で、継ぎ手軸のスプライン溝とスプロケットのボス溝を合わせた後、ハンマで継ぎ手外側の中心を叩き、金属音が変わるところまで打ち込みます。
※シール・カラーには少量のグリース を塗付し、ベアリングが留まる部分にはエンジン・オイルを塗付しておくとはめ込み易いです。 |
継ぎ手が抜けないように、軸用スナップ・リングを2つはめ込みます。
このロータリは、スナップ・リングを2重に重ねて留めています。
その後、プラグを取り付け蓋をします。
プラグのシール接触面が腐食気味だったので、液体ガスケット を塗付して取り付けました。 |
チェーン張りの蓋の取付面に、液体ガスケット を塗付します。
チェーン張りを挿入し、蓋を固定します。頭部10㎜のボルトは、対角線上にずらしながら締めていきます。
チェーン張りの挿入は、手で継ぎ手を正回転方向にゆっくり回転させながら、挿入させます。チェーンのローラ間(リンク部)に、チェーン張りの先端が入らないようにするためです。 |
耕運軸を取り付けます。
耕運軸をロータリの下に移動させ、エンジンを始動します。
ゆっくりポジション・レバーを下げて、チェーン・ケースの継ぎ手と合わせます。
ボルト穴位置を適当に合わせたら、シノをボルト穴に差し込み、穴位置を合わせボルトを仮締めします。 |
ベアリング・ケース(右)も同様に、シノを使って穴位置を合わせます。
チェーン・ケース側ボルト4本と、ベアリング・ケース(右)側ボルト2本を全て仮締めしたら、順に本締めしていきます。
次いで、サイド・プレートのボルトも本締めします。 |
均平板を下げて、ロータリのオート入切レバー(自動耕深装置)を「入り」位置にします。
チェーン・ケースのギヤ・オイル 注入(0.5ℓ)は、液体ガスケットがある程度乾くまで3~4時間待ってからにします。 |
作成日:2009/12/21 |