バッテリ

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バッテリは、車両に必要な電気を充電、放電できるもので、DC12Vの鉛バッテリが使われる。
農業機械に使われるバッテリは自動車やバイクなどと大まかに同じで、以下の役割がある。

  • スタータへの大電流を供給。
  • エンジン始動に必要な点火系、燃料系の電力供給。
  • キー・スイッチを切ったときのオーディオなどへのバック・アップ電力の供給。
  • 車両の電装品への電力供給。…各電気負荷の要求電力がオルタネータの出力を越えたときに、各電気負荷へ電力を一時的に供給。
  • 電源電圧の安定…電気負荷変動やノイズに対しての電圧変動を吸収。


バッテリ形式の例


55B24R
55=性能ランク、B=幅と高さの区分(A~H)、24=長さの概数(cm)、R=端子の位置


端子の位置は、右図のように+端子側を縦面からみて右にあるものがRで、左にあるものがLである。

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LRの見分け

構造



バッテリは陽極板、陰極板、セパレータ、電槽、+端子、-端子、液口栓、極柱、電解液からなり、6槽(6セル)に分かれた電槽にふたをし、1セル約2.1Vで6セル合わせて(直列接続)12V(12.6V)になる。
従って、液口栓は6個存在することになる。

容量



バッテリの容量は、完全充電状態から取り出せる電気量で表される。
バッテリは端子電圧が0Vになるまで放電すると、寿命自体が無くなってしまうので、一般には、放電されてから一定の電圧になるまでの放電時間と、平均放電電流の積で表される。
例えば、10Aの放電電流で5時間放電できるのなら、容量は10A×5hで50Ahとなる。

しかし、バッテリ容量は放電条件によって大きく影響されるので、表示されてる容量と違うことがある。同じバッテリにおいては温度が低い程、放電電流が大きい程容量は小さくなる。このため、この容量を表すためには時間率(放電率)と放電電流条件を示す必要がある。時間率は現在5時間率で表示することになっている。

バッテリ

電解液



電解液は純度の高い無色で無臭の希硫酸が使われ、液量は最高液面線と最低液面線の間にあれば正常である。
電解液の比重は、バッテリが完全充電状態において、温度20℃を基準として熱帯地で1.240、温帯地で1.260、寒冷地で1.280の3種類を用い、日本では、1.280もしくは1.260を標準としている。

希硫酸の比重は温度が高いと小さくなり、温度が低いと大きくなる。したがって、標準温度の20℃に換算する必要がある。
電解液比重は、温度1℃の変化に対し0.0007変化するので、当温度t℃における比重を20℃に換算すると次式になる。

S20=S+ 0.0007(t-20)

S20:20℃に換算した比重、S:t℃における実測比重、t:測定時の液温(℃)

比重計で電解液を吸わせて測定した値が、約1.200(20℃)以下になったら補充電が必要である。また、完全充電状態なら-30℃以下にならないと氷結しないが、放電状態では比重低下に比例して氷結温度が上がるので、寒冷地などでは、なるべく完全充電状態を保つようにする。
一度電解液が氷結すると陽極板の作用物質が崩壊し、再使用ができなくなる。

電解液である希硫酸は、硫酸なので皮膚や衣服についたときは直ぐに多量の水で洗い、目などに入った場合は医師の治療を受けるようにする。


電解液比重表

端子



バッテリ端子は、テーパ式と小型バッテリ(Aタイプ)のボルト・ナット式がある。
テーパ式は、+と-を逆接続できないように+端子と-端子の寸法が違っている。

種類



充電済バッテリ(電解液入)
このバッテリは初めから電解液が入っていて、充電済で出荷されるので直ぐに使用できる。しかし、使用されるまでの保管期間が長い場合は、自己放電し容量が減っていることがあるため補充電が必要である。
即用バッテリ(電解液未入)
液注入口には外気が入らないように密閉シールが貼られていて、使用直前に密閉シールを剥がし電解液を注入して使用する。電解液注入後、20~30分くらい放置し、基本的には補充電不要ですぐに使用出来る。より快適に使用するには、バッテリ容量の1/10の電流で1~2時間の補充電をする。このバッテリは、保存中は内部に空気を入れると即用効果が無くなるので密閉シールを剥がさないようにする。


◎開放型バッテリ
電解液の補水が必要である。充電時に内部で発生したガスは、液口栓の上面にある排気口から抜けるようになっている。
良いところは、急速充電が可能で価格も安い事である。
◎半密閉型メンテナンス・フリー・バッテリ
密封性の高い構造なので、基本的に電解液の補水はしなくてよい。充電時に内部で発生したガスは、還元され水に戻るようになっているのだが、僅かに排気口から抜ける。半密閉型の多くは、液口栓を無くし充電状態が分かるインジゲータを設けている。
アンチモン(Sb)の添加量を少なくして電解液の減少を抑制したものをLM(ロー・メンテナンス・フリー)バッテリといい、Sbの代わりにカルシウム(Ca)を添加したものをMF(メンテナンス・フリー)バッテリと呼ぶ。LMバッテリに比べ、MFバッテリはガスの発生が少なく自己放電量も少ないので優れてるが、深い放電の繰り返しや高温環境のもとでは寿命が早くなる欠点がある。
農業機械向けのMFバッテリは、電極(陽極板、陰極板)に従来のアンチモン合金(鉛とアンチモン)ではなく、カルシウム合金(鉛とカルシウム)が使われている。そして、セパレータにはガラスマット等を使った特殊構造を用いる事によって、耐振動性、高温耐久性が増し、自己放電が少なく長期保存が可能になっている。
◎完全密閉バッテリ(完全メンテナンス・フリー)
小型電源用に多く使われ、完全密閉なのでガスは発生せず電解液の補水も必要ない。電極板やセパレータに電解液を浸み込ませたり、電解液をゲル化しているので外部には何も漏れない。適正な充電電圧で使わないと性能が維持できなくなる。





取扱、保守



■端子の手入れ

鉛バッテリは使用時間は長くなると、特に+端子が腐食したり白い粉が付着したりしてくる。
白い粉はぬるま湯で洗う、もしくはワイヤー・ブラシ、サンド・ペーパーで磨いて落とす。そして、腐食防止目的で端子にグリースを塗布してから、端子(ターミナル)ケーブルをはめ込みしっかりナットを締め固定する。端子ケーブルは、ナットの腐食などでしっかり固定できない場合は交換する。

サルフェーションについて
白い粉とは、電気を発生する段階において希硫酸の電解液が鉛アンチモン合金からなる極板と科学反応し、そのときに発生するガスが、少しづつ外部に漏れて端子回りに付着するもの。端子回りに付着するということは、極板上には大量の硫酸鉛である白い粉が固着してることになる。バッテリを補充電せず長く放置すると、このような症状になり充電しても元の状態に戻らなくなるので注意する。これをサルフェーションという。
■端子の取り外し

バッテリ端子ケーブルの取り外しは、必ず-端子から外し、取り付けは必ず+端子から取り付ける。
逆に、+から外したり+を最後に取り付けた場合は、工具がボディに接触してスパークする可能性があり危険なため。

■ブースタ・ケーブルの接続順番

  1. ブースタ・ケーブルの+側(赤色)を、トラブル車の+端子にクリップ
  2. ブースタ・ケーブルの+側(赤色)を、正常車の+端子にクリップ
  3. ブースタ・ケーブルの-側(黒色)を、正常車の-端子にクリップ
  4. ブースタ・ケーブルの-側(黒色)を、トラブル車のエンジン・ブロックに接続。バッテリから離れたところへ

■補充電と補水の仕方、寿命について

補充電は定電流充電法(普通充電)と、急速充電法の2種類ある。
補充電は比重が約1.200(20℃)以下となったら行う。
またメンテナンス・フリー・バッテリでインジゲータ付のものは、バッテリ上部のインジケータで充電状態の良否を判断する。緑色は良好、黒色は要充電、白色は要バッテリ交換である。

電解液は最高液面線と最低液面線の間にあれば正常だが、少ない場合は蒸留水(精製水)を最高液面線まで補水し、その後すぐに使用しない場合はなるべく補充電する。
液口栓は、内部から発生するガスを通気させる穴(通気孔)が開いていてる。また、一部小型バッテリ(キャップ式)を除き、全て正ネジなので左回しで外す。


バッテリは、自動車のようにほぼ毎日乗るものはその分オルタネータで充電され、同じように電力供給も行われ寿命は約3年である。中には運良く5年以上使えてしまうこともあるが、例外なので期待はしないこと。
農業機械に使われるバッテリは時期ものなので、年に数回しか使わず保管期間が長いので放電してしまう。それを防ぐためには、-端子ケーブルを外しておき、月に1回程度でよいので補充電する必要がある。
保管時にしっかり補充電をしていれば、4~5年は使えるのでメンテナンスは大事である。

サルフェーションが発生しているバッテリは、十分な充電が出来なくなるので注意する。


定電流充電法(普通充電)の注意、留意する事
  • 充電電流はバッテリ容量の10分の1程度で行う。
  • 電解液が少ない場合は蒸留水(精製水)を補水してから行う。
  • 充電中は、水素ガスと酸素ガスが発生するため液口栓は必ず外して充電する。
  • 充電中は、水素ガスと酸素ガスが発生し爆発の恐れがあるので火気厳禁である。
  • 充電中に液温が45℃を越える場合は充電電流を減少させる。
  • 充電完了時の比重が規定値より高過ぎる場合は、電解液を少し取り出してから代わりに蒸留水(精製水)をそれぞれ補水し、比重が低過ぎる場合は、比重1.400の希硫酸をそれぞれに補充して比重調整する。
  • 充電完了の目安は、各槽からガスが盛んに出だし電圧と比重値が最高値になるが、その最高値が1時間以上続けば完了としてよい。

急速充電法の注意、留意する事
  • 充電電流はバッテリ容量の2分の1程度で行う。
  • 出来るだけ短時間(1時間以内)で終える。
  • 車両の+と-の両端子(ターミナル)ケーブルは外して行う。
  • 充電中に液温が45℃を越える場合は、充電電流を減少させるか一度中止する。
  • 普通充電と同様に液口栓を外して行う。また、電解液不足の場合は蒸留水(精製水)を補水する。
  • 普通充電と同様に火気厳禁である。
  • 急速受電はバッテリの寿命を低下させるので注意する。





バッテリの主な種類、規格表(JIS D 5301)



形 式 容量
5時間率
(Ah)
長さ

(mm)
箱高さ

(mm)


(mm)
総高さ

(mm)
充電
受入れ性
(A)
(参考)実力標準値
リザーブ・
キャパシティ
(分)
コールド・
クランキング電流
(A)
26A17R(L) 21 167 162 127 182 2.6 35 225
30A19R(L) 22 187 162 127 182 3.0 35 250
40B19R(L) 28 187 203 127 227 3.5 52 332
46B24R(L) 36 238 203 129 227 4.5 71 325
55B24R(L) 36 238 203 129 227 4.5 79 433
65D26R(L) 52 260 204 173 227 6.5 113 413
75D31R(L) 60 306 204 173 227 6.5 137 447
95E41R(L) 80 410 213 176 233 10.0 182 512


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作成日:2007/5