充電装置

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農業機械は自動車同様電源としてバッテリが使用されるが、バッテリは充電せずに使用すると能力がどんどん落ち、最後には使用不可になる。これを防ぐために、エンジン運転中はオルタネータ(交流発電機)を使いバッテリを充電し続け、さらに他の様々な電装品負荷に電流を供給している。通常、オルタネータはクランク・プーリからVベルトによって駆動され、回転速度はエンジンの約2倍である。また、単相と3相があり3相交流発電が主流である。


オルタネータの構造


現在オルタネータはICレギュレータ付オルタネータが主流だが、左下図のオルタネータは別にジェネレータ・レギュレータが必要な旧式タイプだが、基本は同じである。
オルタネータ



取り扱い注意事項

  • バッテリを絶対に逆接続しない。ダイオードが壊れる可能性がある。
  • オルタネータのB端子を外したままエンジンを高回転にしない。レギュレータが発生電圧を制御出来なくなる。
  • 水をかけない。
  • 急速充電時はバッテリを外して行う。ダイオードが壊れる可能性がある。     
  • ダイオードの点検は、必ずサーキット・テスタを使う。
ロータ
クランク・プーリからVベルトを介して回されるところであり、軸であるロータ・シャフトの両端をベアリングで保持し、スリップ・リング(ブラシに圧される面、外周)、ロータ・コア、ロータ・コイル(フィールド・コイル)から成る。ロータ・コイルはバッテリからの電流で磁束を発生する部分で、コイル両端はスリップ・リングにつながれている。
ステータ
ステータ・コアとステータ・コイルから成り、エンド・フレームに固定されている。ステータ・コアは成層鉄心でロータ・コアと共に磁気回路を形成している。ステータ・コイルは、コア内側の溝に3個の独立したコイルが付き、Υ結線で接続されている。
ダイオード     
ホルダ(ヒート・シンク)にプラス側とマイナス側それぞれ3個ずつ付いている。ステータ・コイルに発生した3相交流を直流に整流するものである。
ブラシ     
常にブラシ・ホルダ内スプリングに押されながら、スリップ・リングに接触し、ロータ・コイルへと通電する部分である。
ファン     
ロータ・シャフトに固定され、エンド・フレーム外部または、内部(現在の主流)に配置され、オルタネータを冷やしている。
ジェネレータ・レギュレータ     
ボルテージ・レギュレータと、ボルテージ・リレーから成り、オルタネータとは別物で単体である。ボルテージ・レギュレータは、オルタネータの発生電圧を規定値に保つ装置である。ボルテージ・リレーはチャージ・ランプの制御と、ボルテージ・レギュレータのコイル電流の断続を行っている。エンジンの回転が上がると発生電圧も上がるが、ジェネレータ・レギュレータは規定値を越えた電流(余った電流)をバッテリに流し(充電)、発生電圧を整えている。
※現在主流のICレギュレータは、この作用をIC制御で行い、オルタネータのエンド・フレーム外側に取り付けたものや、内装したものなどがある。
ジェネレータ・レギュレータはリレーを使う接点式だが、ICレギュレータはトランジスタ(Tr)やダイオード(D)などを使う集積回路なので接点がない。




ICレギュレータ付オルタネータの回路例(初期型)


(※現在はチャージ・ランプ・リレーもなく、ICレギュレータにまとめられたものが主流である。)

ICレギュレータ式オルタネータの回路



3ダイオード励磁方式


動作説明

イグニション・スイッチ(IG・SW)をオン、エンジン停止


IG・SWを入れると、バッテリからの電流はオルタネータのIG端子とチャージ・ランプ・リレー(C・L・R)のIG端子、A端子を通りオルタネータのL端子へ流れる。そのL端子から入ってきた電流の一部が、ICレギュレータのL端子を通りTr2のベース端子へ流れるため、Tr2のコレクタ、エミッタ端子間にロータ・コイルから来た電流が流れ励磁される。そして、C・L・Rの接点が閉じチャージ・ランプ(C・L)が点灯する。
初期励磁抵抗はロータ・コイルに流れる電流を制限し、IG・SWの切り忘れ時の無駄な放電を防いでいる。

エンジン運転、オルタネータが発電を開始

オルタネータの発生電圧がバッテリの端子電圧以上になるとB端子からバッテリへ充電が始まる。この状態になると、励磁Dを経由してオルタネータのL端子の電圧も上がり、C・L・RのIG端子間の電圧差がなくなり、C・L・R内コイルに電流が流れず接点は開きC・Lが消灯する。
ステータ・コイルの電圧が励磁Dを通るが、逆流防止用Dの働きによってバッテリや負荷には流れず、ロータ・コイルとレギュレータのL端子へ流れる。

エンジン運転、オルタネータの発生電圧を調整

オルタネータの発生電圧が上昇するとその電圧を調整しようとする。この時、レギュレータのS端子から抵抗、ツェナ・ダイオード(Z・D)を通りTr1のベース端子に電流が流れるため、Tr1のコレクタ、エミッタ端子間に電流が流れる。
このTr1のコレクタ端子の手前で、今までTr2を働かせるために保っていた電位はTr1が働いたため急激に低下し、Tr2のベース端子に流れず、つまりTr2は働かなくなり、ロータ・コイルへ電流が遮断され発生電圧が低下する。
オルタネータの発生電圧が低下すると、Z・D、Tr1に電流が流れなくなりTr2が働く。
このように、Tr1とTr2が交互に働きロータ・コイルの電流を断続して発生電圧を調整している。




ICレギュレータ付オルタネータの点検
(※ファン・ベルトは損傷、張り共に異常ない状態で)


エンジンを始動させて、バッテリの電圧をテスタで測定する。
エンジン停止時のバッテリ電圧より、エンジン始動時のバッテリ電圧が高いか測定する。

例:エンジン停止時12.7V→アイドリング時~高回転時14V

例のようにバッテリ電圧が1V以上変化すれば、オルタネータ、ICレギュレータは正常と判断して良い。

※現在のオルタネータは、エンジン回転数に関係なく発生電圧を一定に保つようになっている。


■無負荷発生電圧の測定

オルタネータのB端子、2Pコネクターを外さずにそのままの状態で、右図のように、B端子と、2PコネクターのIG端子を適当なリード線でつなぐ。IG端子は2Pコネクターの線側から差し込む感じの固定で良い。
エンジンを始動させ、アイドリング状態で、バッテリのマイナスターミナルを外す。
右図のように、B端子と車体間の電圧をテスタで測定する。

DC13~14Vあれば良しとする。それ以下ならオルタネータのオーバホールが必要。また、それ以上ならICレギュレータが故障している可能性がある。
無負荷発生電圧の測定



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作成日:2006/11