| 水冷式冷却装置 |
水冷式冷却装置は、始動中の高温になったエンジン各部の温度を適正に保つ装置であり、一般に加圧式の強制循環式が使われている。 そして、サーモスタットの取り付け位置から出口制御式と入口制御式に分かれるが、農業機械で使われるディーゼル・エンジンは出口制御式が多く用いられる。他、キャビン(室内)タイプの作業機械では、高温になった冷却水はエアコンとしても利用され、その冷却水熱を送風機で取り出し室内に送り、寒冷時などに個室を暖めることができる。 |
冷却水について 一般には、防錆、防食剤や凍結防止剤の入った冷却液(ロング・ライフ・クーラント)を、水に混入して冷却水として使用される。また、不凍液(アンチ・フリーズ)とは凍結防止のみを目的としたものである。 ロング・ライフ・クーラントとは、エチレン・グリコールに特殊な防錆剤、防食剤、そして酸化抑制剤を添加したもので、冷却各部の金属腐食を長期間防止し、冬季の凍結、夏季のオーバヒートを防止する性能がある。 冷却液(ロング・ライフ・クーラント)も不凍液(アンチ・フリーズ)も全水量の30%くらい混入すれば、大体だが凍結温度を-20℃くらいに下げる事ができる。混入率を増やせば、凍結温度もさらに下がる事になるが、60%以上にすると凍結温度が逆に高くなるので注意する。 |
出口制御式冷却水は、サーモスタットの開弁温度になるまでウォータ・ポンプの送水力で、ウォータ・ポンプとシリンダ・ジャケット間(エンジン内)を循環し続け、エンジンが暖まってくると、冷却水の温度は上昇する。 出口制御式とは、右図のようにウォータ・ポンプ・ケース(エンジン側)からラジエータに冷却水が送られる間にサーモスタットを取り付けたもので、冷却水は、サーモスタットの開弁温度に達するとラジエータを通り冷却され、エンジン側に流入してウォータ・ジャケット内を循環する。 出口制御式では、冷却水がシリンダ・ブロック及びシリンダ・ヘッドのウォータ・ジャケットを循環し、サーモスタットに到達した時点での冷却水温度をサーモスタットが検知して作動するため、流量調整後の応答遅れがあり水温変動を生じる。このため、入口制御式に比べ開弁温度が5〜7℃くらい高めのサーモスタットを使ってる。 |
| 入口制御式 冷却水の温度が低い時は、出口制御式と同様にエンジン内を循環し続ける。 入口制御式とは、ラジエータからウォータ・ポンプ・ケース(エンジン側)に冷却水が送られる間にサーモスタットを取り付けたもので、冷却水は、サーモスタットの開弁温度に達するとラジエータを通り冷却され、エンジン側に流入してウォータ・ジャケット内を循環する。 入口制御式では、エンジンに流入する冷却水の温度をサーモスタットが検知して作動するため、応答遅れがなく水圧の影響も受けないので水温変動が小さい。 入口制御式のサーモスタットは76〜82℃くらいのものが使われる。 |
ラジエータラジエータは高温になった冷却水を冷やすためのもので、一般に右図のようなコルゲート・フィン型が多く用いられていて、各部は熱伝導性の高いアルミニウム合金、または薄い黄銅板で造られている。また、常に冷却水を満水にしておくためにサブ・タンクが取り付けられている。 |
| ラジエータ・キャップ、サブ・タンク ラジエータ・キャップは、プレッシャ・バルブとバキューム・バルブを備え、冷却系統に50〜100kPaの圧力を加えるようにしたプレッシャ型ラジエータ・キャップが多く用いられている。これは、ラジエータ・キャップでラジエータを密封し、冷却水の熱膨張によって圧力を掛け、水温が100℃以上になっても沸騰しないようにして、気泡の発生を抑え冷却効果を高めている。 ラジエータ内が規定圧力範囲内のときは、プレッシャ・バルブとバキューム・バルブが閉じてラジエータ内の気密を保ち、冷却水の温度が上昇しラジエータ内が規定圧力以上になると、プレッシャ・バルブが開いてラジエータ内の圧力を調整する。冷却水が冷えてラジエータ内が負圧になると、バキューム・バルブが開いてサブ・タンクから冷却水を吸入し負圧をなくそうとする。農業機械では、ラジエータ・キャップは0.9kg/cuで作動するものが多く使われている。 サブ・タンクの冷却水とラジエータ・キャップ内のバルブ作動
このようにラジエータ内は常に一定の冷却水量を保たれてる。また、サブ・タンクには規定範囲内の冷却水量を入れておく。 |
サーモスタットサーモスタットは、冷却水温が一定になると自動的に開閉する弁で冷却水の循環経路に設けられる。 エンジンが冷えているときは、ラジエータの水路を遮断して冷却水を早く適温にし、適温になった後はラジエータに流れる冷却水の流量を制御して水温を調整している。尚、弁は急に開閉するものではなく、冷却水が一定温度になると徐々に開いたり閉じたりする。 サーモスタットは、ワックス・ペレット型(右図)とベローズ型があり、ディーゼル・エンジンもガソリン・エンジンも一般にワックス・ペレット型が多く用いられている。 ワックス・ペレット型は、ワックスをペレットの中に密封したもので、熱によりワックスが膨張収縮する性質を利用し弁を開閉している。ベローズ型は、エーテルが熱により膨張収縮する性質を利用し弁を開閉するが、ワックス型に比べて水圧の影響を受けやすい。 出口制御式で82〜88℃くらい、入口制御式で76〜82℃くらいで作動するサーモスタットが使われる。 |
| ウォータ・ポンプ、ファン ウォータ・ポンプは冷却水を強制的に循環させるものである。 ウォータ・ポンプには渦巻ポンプが用いられ、インペラの回転によって冷却水を遠心力で外周に跳ね出してポンプ作用を行なっている。 ウォータ・ポンプのケース外インペラ軸先端にはファンが取り付けられ、ラジエータ側から冷却空気を吸い込み、ラジエータを流れる冷却水を冷やすと同時にエンジン本体も冷やしている。ファンの回転、つまりポンプの回転はクランクシャフト・プーリよりVベルト(ファン・ベルト)で伝えられ、クランクシャフトの1.2〜1.6倍くらいの回転速度で常時回転している。また、故障などでポンプが回転しなくなっても、冷却水がインペラの羽の間を自由に通り抜け自然循環する構造になっていて、すぐにはオーバ・ヒートしないようになっている。 ファンの駆動には、上記のようなVベルト式とバッテリ電源によるモータ式があるが、農業機械に使われるエンジンにはVベルト式が多く用いられている。他、ファン・クラッチを取り付けたものがあるが、エンジンが適温になるまでの暖気時間の短縮と、ファン不要時のファン騒音の低減、またはファン駆動損失の低減を目的としている。ファン・クラッチにはオイルの粘性を利用する粘性式と、電気的にファンの回転制御を行なうマグネット・コイル式などがある。 |
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